〜2006年9月イギリス編〜

■8月某日 曇り
 今回の買付けは、年に1回のマイレージのボーナスチケットを利用する回。なぜなら、ピークは過ぎたとはいえ、まだこの時期の航空チケットといったら、目が飛び出る程の金額なのだ.。この時期、二人分の高額チケットを購入する気がさらさら無い私達は、必ずどちらかが貯めたマイレージを利用することにしている。今回は、私のマイレージをチケットに交換する。が、ボーナスチケットは、一便の割り当てが少ないなため、どうしても二人一緒に出発のチケットがとれず、一日ずれての旅立ちとなってしまった。そのため、珍しく河村に空港まで車で送らせてロンドンへ向かうことに。当の河村は翌日の飛行機で後を追うことになっている。今回のように、二人別々に出発することは決して珍しくないのに、毎回空港での別れはなんとなくしんみりしてしまう。ゲートへ入ってからも一生懸命手を降る私、でも姿が見えなくなったそのすぐ後、忘れ物を思い出し、公衆電話から河村の携帯へtel。「いつも持ってきてる買付け用の大きなバッグ忘れちゃった。明日、持ってきて!」
 そんな私に多分河村は「コイツ、またかよ!」と思っていたことだろう。買付けのためにパッキングするのはいつも出発前日の深夜に1時間程で完了。買付け準備はいつもこんな感じなのだ。

 さて、ようやくロンドンへ到着。なぜなのか行く前から既に27キロの重量だった私の荷物。今回も二つのスーツケースとともに到着のため、迷うことなくタクシー乗り場へ。ロンドンのタクシーといえば、パリなどと違ってボラれることもなく、安心して乗れることが特徴。ロンドンのタクシードライバーの資格試験は、非常に難しいことでも有名で、通り名を告げただけで、広大なロンドンのその場所へ行ってくれる。今までに乗ったあるドライバーなど、「道を間違ったからこの金額でいいよ。」と自己申告、メーターよりも安い金額を払ったことさえあった。
 だが、今回のタクシーはヒースロー周辺の国道M4に入るとともにすごいスピードで飛ばし始めたのだ。あまりのスピードに動揺した私は、「ここで死にたくない。」と後部座席にぴったり身を横たえて、シートベルトまでもしっかり着用。おまけにドライバーは運転中もずっと携帯電話で話しっぱなし。フラットの近くまで向かうも、最寄りの地下鉄駅を通り越し、次の駅までもかすめて行くではないか!
 「いったいどこに行くつもりなの!?」と怒りながらドライバーに叫ぶ私。「大丈夫、大丈夫。」と軽く受け流すドライバー。程なくフラットに着いたのだが、通常は40ポンドほどの料金なのに、当然のごとくメーターは50ポンド。おまけにドライバーは、厚顔無恥にもメーター通り「50ポンド。」とひと言。再び怒った私は「ヒースローからはいつも40ポンドぐらいよ!あなた道を間違えたでしょ!」とキレ気味。たった10ポンドの違いでも、円安の現在、日本円で2500円もの差額になってくるのだ。ここで無駄に払うものか!ロンドンのタクシーの料金は、車を降りてから窓越しに払うのが習わし。押し問答のあったあと、「じゃ、43ポンドでいい。」とドライバー。仕方なく50ポンド札を渡すと…今度は5ポンドしか返ってこない。当然のごとくすっかりキレた私は「あと2ポンドは!?」と叫んだのだが、ドライバーはさっさと車をスタートさせようとする。「ウソツキ〜!!」虚しい私のタンカとともに去っていくタクシー、怒ったせいでどっと疲れが出る私。まるで今後の買付けを予測するような暗雲垂込めた出足だった。

 だが、アンラッキーはこれで終わりではなかったのだ。今回の買付けでは、パリから南仏まで足を伸ばす予定なのだが、パリからの列車のチケットは、フランス国鉄のWebより予約、クレジットカードで既に購入してある。ただし、購入したチケットを日本へ送るシステムが無いため、フランスからいつも泊まっているロンドンのフラット宛で送ってもらうように手配しておいたのだ。もちろんフラットへは予約した時点にメールでそのことは伝えてある。
 長年使っているフラット。キッチン付きなのが気に入って、もう5〜6年泊まっているだろうか。慣れたレセプションでチェックインし、レセプションの彼に「私のチケット届いている?」と聞くと…
“Oh,My God!”
なんと、送られてきたチケットを送り先の間違いかと思って差出人へ返送してしまったという。あちゃ〜!“Very Sorry.”と彼は何度も謝ってくれるのだが、このチケットがないと4日後の列車に乗ることが出来ない。悪夢のような買付けの出だし、果たしてこの先どうなるのだろうか?

 

私達が宿泊するフラット近くの住宅。私達が滞在するフラットと同様に、このあたりの住宅街は全てヴィクトリア時代に建てられた煉瓦造りの建物が連なっている。イギリスらしい光景のひとつ。

■8月某日 曇り
 ロンドンは既に秋の気配。まだ8月だというのに、フラットの部屋にいても、イギリスらしくどこか薄ら寒く、上着を着ていないと寒くていられない。今日はまず昨日返送されてしまったフランス国鉄のチケットについて問い合わせるため、ロンドンの繁華街ピカデリーにあるフランス国鉄のオフィスへ向かうことにする。万が一、チケットの受け渡しがうまくいかないことも想定して、Webでチケットを購入した際にプリントアウトした書類を持ってきていたのだ。

 地下鉄でピカデリーへ。フランス国鉄のオフィスに着くと、まずは受付でチケットが手元に来ていないことを伝えるのだが、プリントアウトを見せて、「ここでチケットを発券して欲しい。」と懇願する私に、受付のコチコチに四角四面の男性は、「ここでは発券出来ない。ここへ電話をするように。」と素っ気なくフランスへの電話番号を教えてくれるのみ。「フランスまで、しかも電話で話さなきゃいけないなんて・・・。」電話で見ず知らずの相手に英語で込み入った説明をするのは憂鬱なこと、がっかりしながらフラットへ引き返す。

 再びフラットへ戻ってくるとレセプションの彼に大声で呼び止められた。「?」と思いながら近寄っていくと・・・その手には昨日受け取るはずだったチケットが入った封筒が燦然と輝いていた。どうやら昨日のうちに彼が配送会社に連絡してくれ、再配達してもらったらしい。「良かった〜!」と満面の笑顔で受け取ったのはいうまでもない。これで南仏まで行くことが出来、ひと安心。チケットさえ受け取れば、あとは買付けの始まりだ。今日は夕方河村が到着するまでに、一人で見ておくところが何箇所かある。

 午後は何箇所かの買付け先を回る。まずは手始めに、可愛いハットピンやピアスなどのジュエリーを少々、また別な場所では、大振りなノルマンディーレースを発見。数は少ないものの、買付けの初日としては、「まずはこんな感じかしら?」という手応え。今日は下見で、また明日河村とともに再度訪れる予定もあり、今日は顔馴染みのディーラー達と「お元気?」と挨拶を交わすだけ。
 ジュエリーの修理を請け負うショップへ立ち寄ると、通常は一週間かかる修理を2日でやってくれるという。修理するジュエリーを預け、自分の名前を告げようとすると「あなたの名前は?アイコ?ミチコ?」と笑いながら問う彼。たぶん、日本からのジュエラー皆もお世話になっているのだろう。普段から外国人ディーラーを相手にしているのだけあって、ゆっくりしたスピードの英語で話してくれる。「私の名前はマサコ、M,A,S,A,K,Oよ。」とスペリングも答えると、何を思ったか「マサコ、今晩、一緒に飲みに行かない?」と早速ナンパのお誘い。にっこり笑って、「今晩ハズバンドが日本から来るのよ。」と一応礼儀として残念ポーズをしてみせる私。ナンパなんて、河村とコンビを組んで以来ご縁がなかったので、本当に久し振りのこと。以前、ラテンの国フランスへ行けば、老若問わず(本当におじいちゃんから中学生まで)、日本人という物珍しさも手伝ってみんなによく声を掛けられたっけ、と懐かしく思い出す。もっとも、かの国では女性にはとりあえず声を掛けてみるのが礼儀(?)のようなものなので、珍しくも何とも、もちろんありがたくもないのだが。

 夕方、一度フラットへ戻り、この日ロンドンにやってくる河村との待ち合わせの場所、近くの地下鉄の駅へ。本当は付近のカフェで待ち合わせをしていたのだが、思いがけず早く着いた河村は地下鉄の駅で待ちぼうけをしていたらしい。それからはふたりでお互いに昨日から今日の出来事をおしゃべり、昨日の暴走タクシーの話からフランス国鉄のチケットの顛末まで、たった一日半程会わなかっただけで、「こんなにしゃべることがあるものかい?」というほどの勢いでおしゃべりに徹した。さあ明日からは、買付けに集中だ!

この美しい淡いグリーンの扉も、いつも前を通るフラットのご近所。画像では分かりにくいのだが、左端の鉢植えに植えられていたラベンダーの淡い紫と良く合ってとても雰囲気が良かったのだ。

■9月某日 曇り
 いよいよ今日から買付けも本番といったところ。今日は朝一番からの仕入れのため、朝6時には出勤、地下鉄の始発とともに動き出す。今日のマーケットは、ロンドン市街の開発のあおりを受けて縮小されてしまったマーケットだが、それでも無視することは出来ない。「果たして拾える物(私達アンティークディーラーは仕入れることを“拾った”と喩えることが多い。が、実際には拾った訳ではないのでお間違えの無きよう。)はあるだろうか?」と危惧しながらも、出掛けてみる。マーケットの周りは、まだ数年前までは、まるでお化け屋敷のような古ぼけたヴィクトリアン当時の倉庫が多数残っていたりして大英帝国時代のロンドンの下町を思わせる地域だったが、最近は開発が進み、ずいぶん新しい建物に変わってしまった。
 さて、買付けの方はというと、イギリスには珍しくお人形の材料に良さそうなブレードやリボンを扱うブースを発見し、早速いくつかをセレクト。また、あるブースでは繊細なアイボリーのブローチが。こんなマーケットで出会うとは思わなかった一品だ。傷がないかよくよくチェック。これを持っていた女性ディーラーは、きっとお気に入りの品だったのだろう、とても名残惜しそうだった。その後も思いがけず、いくつかの細々したジュエリーを手に入れ退散。

 一度フラットへ戻り、午後からはまた別の場所へ。昨日下見をしておいた場所へ。必ずしも毎回期待したものがあるとは限らず、果して今回はどうだろうか?顔馴染みのコスチュームのディーラーのところへ。いつも状態の良いものを扱っているディーラーだ。私が探していたヴィクトリアンのベビードレス、ディーラーの彼女は何着か奥から出してきてくれた。その中から繊細で手の込んだホワイトワークを見つけ、河村に「これ、すごく素敵!」と声を掛ける。ディーラーも満足そう。が、よくよく眺めているうちになんだかおかしいことに気付いた。ホワイトワークのドレス部分と見頃部分とのつながりがどうも不自然なのだ。注意深く見ていくと、それぞれ別々の手の込んだドレス部分と見頃部分を後の時代になってつなげたことが発覚。「こりゃだめだ〜。」とあっさり却下。でも、その後、更に奥から出てきたのは、今度は正真正銘の上質なヴィクトリアンのドレスだった。再度、目を皿にしてドレスのあちこちをチェック。今度は大丈夫。本当にこの時代の洗礼式用のベビードレスは、ひとつひとつ個性的で、その手の込んだ細工は当時の手芸の産物なのだ。

 いくつかの仕入れをした後は、ロンドンの目抜き通りニューボンドストリートをウィンドウショッピングして帰る。ブランドショップなども立ち並ぶこの通りだが、ここの高級アンティークジュエラーのウィンドウを眺めながら歩くのがロンドンの楽しみのひとつ。「いったいどんな人が着けたのかしら?」と思えるようなダイヤで出来た巨大なブローチや、びっしり宝石で飾られたティアラなど、まるで宝飾美術館のようだ。そして、最後にバーリントンアーケードを抜けてピカデリーから帰宅。明日は色々なディーラーとの約束のある決戦の日なのだ。

毎度お馴染みの最寄り駅グロスターロード。ここの壁面はアーティストの作品を発表する場となっているため、シーズンごとにガラリと印象が変わる。毎回どんな作品になっているか楽しみ。“Chiiho Aoshima”、今回はどうやら日本人のアーティストらしい。


お気に入りのバーリントンアーケードは、アンティークやジュエリー、シルバーウェアやカシミアなど高級店ばかりが軒を連ねるアーケード。買い物をしなくとも、そぞろ歩くだけでも楽しい。ガラス張りの天井からは光がさして、さながらパリのパッサージュのようだ。


ピカデリーサーカスのフォートナム&メイソンのウィンドウ。紅茶の缶はもちろん、可愛い食器や美味しそうなお菓子が並ぶ中、このゴールドのカメは何?


■ 9月某日 曇り
 今日は何人ものディーラーにアポイントを入れてある。今回はイギリスでの滞在が短いため、今日が決戦の日なのだ。まずは、ゴールドの細工物を得意としているジュエラーの元へ。ロケットやゴールド細工のブローチなど、まずは目当てのものをGet。可愛い子供の写真入が入った小さなフォトフレームがペンダントになったものを見つける。シードパールの飾りが付いていて可愛い。また、他の場所ではWハートのリングを発見。びっしりシードパールが付いた二つのハートをノット(綱)で結んだヴィクトリアンらしいデザイン。ガーネットのカボションにぐるりとローズカットダイヤの粒で取り巻いたリングも、私のお気に入り、とてもアンティークな雰囲気だ。

さて、いつもお世話になっているソーインググッズを扱うディーラーのところでもシルバー製のケース付きのはさみが!こういったケース付きのものと出会うのは、何年か振り、嬉しくなってしまう一品だ。そんな中、ディーラーの彼女は「今度はいつ来るの?」と聞く。馴染みのディーラー達にはよく聞かれることなので、特に考えもせず「たぶん11月か12月。」と軽く答えると更に詳しく聞いてくる。

「12月だったらいつ?12月の初めはいるけど、12月の終わりはFinishだから…。」
「え?今Finishって言わなかった?」
「そう、もう今年いっぱいでこのショップはやめるのよ。」
「どうして?」
「もう年をとったし。」
「えぇっ?そんなことないって。」
「でも、バーミンガムのフェアまで来て。そこには出てるから。」

リタイヤするには、まだまだ惜しい彼女。こうしてまた仕入れ先がひとつ減っていくのかと思うとやりきれない。来年からはバーミンガムまで行かなければ。

 久しぶりに会うジュリア。レースのディーラーの彼女は、しょっちゅうホリディで留守にしている。前回はミラノに行っているということだったし…。「久しぶりね〜。」という彼女に、「だってあなたいつもホリディなんだもの。」とチクリ。いつもお手伝いの女性がいたものの、本人に会うのはしばらく振りなのだ。やはり本人に会えるのは嬉しいもの。今回はレースでなくリボンワークのランナーを。リボンワークにはいつも心惹かれるのだ。

 なぜか今回は、アイボリーに出物が多い。いくら探しても全く手に入れられないときがあるのに、馴染みのディーラーがわざわざ奥から出してきてくれたり、まるで私達の訪れるのを待っていたかのようだ。すずらん、薔薇とすずらんのスプレイ、クロス…etc.様々なアイボリー製品をGet。

 そして、今日のクライマックス、懇意にしているレースのディーラーの元へ。このディーラーからは事前にメールで、「例のコレクターからのようやく良いレースが沢山入ったので、楽しみにしていて!」というメールを貰っていたのだ。実は、ずいぶん前から「そのうちコレクターから良いレースが入るから。」と聞かされていたのだ。よくディーラーの間では 「コレクターが死ななきゃ、いいものなんて出てこない。」とブラックジョークがかわされていたのだが、本当にそのレースコレクターが亡くなったらしい。(!)今回のレースに限らず、ジュエリーでも何でも、コレクターが亡くなった後に、そのコレクションがちゃんとリセールされていくところがイギリスの懐の深いところかもしれない。亡くなったコレクターにとっても、再びコレクションが愛されていくことは本望ではないか。アンティークはこうしてその生命をつないでいくのだ。
 というような事情で、今回は18世紀の良いものがいくつか入荷。本当に美しいレースばかり。乞うご期待!

 なかなかの収穫でようやく今日一日も終了。帰ったら終日歩いたことと、物を選ぶため集中したこととでくたくたに。明日は更に、朝からロンドン市内のフェアを訪れた後、ロンドンから南仏まで1000キロ以上(!)という恐怖の大移動が待っている。

■ 9月某日 曇り
 今日は、ロンドンのホテルをチェックアウトし、1000キロの道のりをはるばる南仏まで出掛ける大移動の日。でも、その前にロンドンでの最後の仕事が待っている。朝からロンドン市内のフェアに行くのだ。規模は決して大きくないのだが、小物が多く、私の好きなフェアなのだ。

 フェアを何とか昼までに切り上げ、午後1時過ぎにユーロスターに乗りパリまで。パリの北駅に着くと、荷物とともにパリ・リヨン駅へタクシーで移動、その後、例のフランス国鉄のチケットで南仏アヴィニヨンまで向かうのだ。アヴィニヨンへの到着予定は午後10時近く。ひとつでも予定を外すと、その日のうちにアヴィニヨンまで到着できるのか危ぶまれる。
 日本の新幹線ともいうべき、ロンドン-パリ間を走る国際列車のユーロスターだが、当地では遅れたり、突然欠便になったりするのはよくあること。一度は、駅に着くと電報掲示板が真っ黒で、「何が起ったの?」と駅員に尋ねると、「システムがダウンした。」とのこと。で、チェックインも全て手作業、定刻よりも大幅に遅れて発車したこともある。ある時は、定刻通りに発車したものの、だんだんとスピードダウン、ノロノロ運転となり、最後には「故障」ということで、途中の駅に全員降ろされ、次に来た車両に乗せられたこともある。この時など、定刻の2時間遅れで到着し、くたくたになったものだった。また別な折りには…。と、このように日本では想像もつかないことが現実に起るのが、ヨーロッパの鉄道事情なのだ。

 肝心のフェアだが、気合いの入れすぎか(?)オープンの40分前に到着、開場の前に並んでいるとどんどん後ろに並んでいく人、人、人。開場したものの、沢山の人ですごい熱気。でも、今回も買付けは上々、久しぶりにバーボラミラーをGet 。他にも色々可愛い雑貨を入手。お目当てのベルギーからのジュエラーも来ていて、ヨーロピアンスタイルのリングやピアスも。何周か回り、十分満足の後Finish。

 さぁ、急いでフラットへ戻り、そのままユーロスターの出るウォータールー駅へ向かわなければならない。フェア会場を出るとすぐにタクシーを拾い、そのままフラットへ。スーツケースをピックアップし、今度はウォータールー駅へ。ユーロスターは40分前からチェックインしなければならない。無事、チェックイン時刻にも間に合い、何事もなくパリへと向かう車中の人となった。
 ロンドンからパリへは2時間40分余り、パリでユーロスターを下車すると、フランスへやって来た喜びもそのままに、今度はタクシー争奪戦に参戦するため、スーツケース2個をガラガラしながらタクシー乗り場まで、走る、走る!なぜなら、タクシー乗り場が混雑していると乗車まで何十分も待たされるのだ。そして、この荷物では地下鉄での移動は不可能。私達のパリ到着からアヴィニヨン行きの列車が発車するまでは約1時間の時間がある。でも今回は、スムーズに列が進み、すぐにタクシーに乗ることが出来た。タクシーのドライバーにリヨン駅の南方面の乗り場で降ろして貰うようにリクエスト、目的地のリヨン駅に着いたのは、私達が乗る予定の列車が出発する約20分前だった。やれやれ。目的地のアヴィニヨンまではさらにここからTGVで3時間半。今日の移動はトータルで8時間程になるだろうか。ホテルへ到着するのは午後10時を回る予定。まだまだ旅は終わらない。

“Provence” “Alpes” “Cote d'Azur” 南行きの列車の行き先を目にするだけでウキウキしてくるから不思議。頭はすっかりバカンスモード?

***フランス編へとまだまだ続く***