アザミや薔薇、蝶々の細工、
イギリスの野原を思わせるホニトンレースの襟
イギリスを代表するボビンレース、ホニトンレースはイギリスの伝統的
なレースの産地、デボンシャーの街ホニトンで作られました。元々、ホニトンのレースメーカーがブリュッセルでデュシェスレースのレースメーカーから学んだ
ということもあり、両者のレースは非常に似通っています。
1840年にヴィクトリア女王が、それまでの王室の伝統のウェディングスタイルだった宝石や金糸銀糸の豪華な刺繍を施した式服のかわりに、ホニトンレース
をあしらった真っ白なイギリス製のシルクドレス、同じくホニトンレースで出来たヴェールを身に着けたことから、ホニトンレースは一躍有名になりました。そ
のクオリティに感動した女王は続けて長男であるエドワード7世のために洗礼式用のベビードレスを注文し、それは現在のイギリス王室にも伝わっています。
ホニトンレースはベルギーのデュシェスレースをお手本にしたレースだけにデュシェスレースととてもよく似ていますが、輪郭線のはっきりしたデュシェスに比
べ、フラットな印象で、華やかなデュシェスに比べると素朴で愛らしい雰囲気が感じられます。また、ヴィクトリア女王自らが販売促進に努めたにもかかわら
ず、国の一大産業であったベルギーのボビンレースに比べ、本国のイギリス以外ではホニトンレースを目にする機会はずっと少ないように思います。
アザミや様々なお花、蝶々が細工されたイギリスの野原を思わせる模様のホニトンレースの襟です。アザミはスコットランドが1263年にノルウェー軍に侵攻
された際、その
トゲが外敵から国土を守ったとされ、それ以来、スコットランドの標章と国花になりました。「報復」「厳格」などの勇ましいアザミの花言葉もそれに由来して
いますが、いわゆる「魔除け」を意味しています。お花模様は「豊穣」を意味する薔薇、蝶々は「復活」の意味。それぞれに意味のあるモチーフがあしらわれた
素朴な雰囲気の美しい襟です。(当時は医療事情も現代と大きく違ったので、日本の呉服と同じように、縁起の良いものを身に纏うことで、健康や幸せを祈った
のかもしれませんね。)当時どのような女性が身に着けていたのか想像が広がります。今回入荷した同時代のイギリスのボビンレースL-105-25のデュシェスレースの襟と見比べていただくのも興味深いと思います。
糸が細い繊細な細工のホニトンで、こちらもデュシェスと同じくボビンレースで作ったモチーフをバーでつないだ手法、バーの部分や襟の周囲には極小の極小の
ピコットも付けられています。それぞれのお花のモチーフの中には、緻密な透かしの細工。実際に身に着けていただくことも出来、その際には洋服にブローチで
留めていただくのもおすすめです。シンプルな単色のお洋服に着けていただくとレースの模様が良く映え、非常にエレガント。大変良好な状態です。
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