〜前 編〜

■12月某日 晴れ
 今回はまたしてもひとりの買付け。憂鬱とは言わないまでも、責任重大なため、あまり楽しい気持ちではない。でも、そんな私の気持ちを察したのか、留守番役の河村は、空港か機内で食べるようにと朝からスペシャル玄米雑穀おにぎり(しそこんぶ、アサリの佃煮、じゃこ、ゆかりの四種入り!凄く美味い!!)を握ってくれた。

 成田ではさっさと中に入って、向こうのディーラーへのお土産の焼酎も買い、ゲート前に陣取り、最近書き込みをしているFacebookに、携帯から「今、成田です!」と書き込んでいると、「お友達」の同業のディーラーさんから「今、成田だよ。これからロンドン。」という書き込みが!慌てて「私もロンドン便。今回はANAよ。」と書き込んで、無事彼と再会を果たすことが出来た。なんでもこの時期、イギリスの田舎でフェアがあるため、日本人ディーラーが集結するらしい。今回、私は最近は物の少ない田舎のフェアは避け、さっさとパリへ向かうため、イギリスでの仕入れは明日だけ。明日が勝負だ。

 なんと、今日は大変ラッキーなことに、飛行機は定刻の一時間も前にロンドン到着。ということは、予定外の仕事に「ロンドンの御徒町」と呼んでいる場所へ、様々なジュエリーの素材を仕入れに行けるかも。

 早い時間に到着したためかヒースロー空港の悪名高きイミグレーションはガラガラ、続いて空港からロンドン市内に入る自動車道M4はスキスキ。あっという間にいつものアパートメントに着いた。いつもなら既にどっぷり暮れている時間なのだが、今日はまだ午後4時前。「これならまだ間に合う!」と一目散にロンドンの北東へと向かう。

 まさかの予定外の仕事を済ませることが出来、ラッキー!帰りはバスを乗り継いでロンドンを横断して帰ってきた。「なんだ!私、まだまだ元気じゃん!」と自分の体力を自画自賛してみたものの、夕方遅くなってくるとともに、流石に長時間のフライトの後の一仕事は堪えた。当然といえば当然か。

このヒトデのようなものは何!?ロンドンのイルミネーションはパリに比べるといまひとつ垢抜けませんが、それもまぁ良しと言うことで…。


「クリスマスのリバティってどんな感じかしら?」と、途中、立ち寄ったリバティもすっかりクリスマス仕様に。


リバティの中の吹き抜けもゴールドでキラキラ。この通り華やかなデコレーションでした。


リージェント・ストリートのイルミネーション。通りの向こうまでどこまでも続くイルミネーションが綺麗です。


オックスフォード・ストリートのデパートは皆それぞれのデコレーションが。ここジョン・ルイスはいちめんブルーの電飾が瞬いていました。ストリートにはメリー・ポピンズを思わせるパラソルが浮かんでいます。


ここデベナムズはカラフルなストライプ。オックスフォード・ストリートに次々現われる建物は皆それぞれ趣向を凝らしたイルミネーションが施されていました。

■12月某日 曇り
 今回はタイトな日程のため、ロンドン到着の翌日には、すぐにパリへ移動するという強行なスケジュール。とにかくイギリスでの買付けが今日だけなので、気合いが入る。パリへ移動するユーロスターの便は午後3時過ぎ、今日も午前6時前には荷物をまとめ、出来得る限りの厚着、手には冬の買付けのお約束、指なしと指ありの手袋の二枚重ね、マフラーぐるぐる巻き、当然頭にも帽子を被って外へ出た。

 外はまだ夜が明けておらず真っ暗。当然息は真っ白で、ハ〜と息を吐くと面白いほど呼気が白い。街路灯のオレンジ色の灯りの下を足早に歩く。早朝のまだ誰も歩いていない通りでタクシーを拾う。今日は事前にアポイントを入れてあるディーラーが何人か、皆一様に「分かった!用意しておくわ。」と返事をくれているものの、物を見ないと安心は出来ない。

 今日はいつもとルートを変え、まず最初に顔馴染みのジュエラーの元へ。前回彼の元で高価なため迷ったジュエリーがあったのだ。「ひょっとしてまだあるかも?」と一縷の望みを抱き到着。目的のジュエリーは既に無かったものの、新たな欲しい物を発見!それはローズカットが沢山付いたブローチ、しかも地金は14Kのゴールドだ。普通ローズカットダイヤにはシルバーと相場が決まっているというのに14Kのゴールドということは…「オランダ製?」答えはYes。ローズカットダイヤの産地だっただけに、オランダ製のダイヤモンドジュエリーは質が高くリーズナブルな物が多い。思いがけず良い物が入って嬉しい。

 やはり度々物を譲って貰うディーラーのところでは、可愛いピンクのトワレットセットを見つけた。白濁したオパルセントグラスにピンクの着色、手描きの薔薇のエナメルのフランスらしいセットだ。フランス物が得意な彼女とは、フランスのフェアでも顔を合わせることも多い。ただし、香水瓶のゴムのポンプがかなり劣化しているので、これを綺麗な物と取り替えたいところ。パリに持っていけば、アンティークのポンプを扱っているディーラーがいそうな気がする。「どうにかなるかも…。」と決断する。

 今日のアポイントを入れたソーイング小物を扱うマダムも毎度必ず顔を合わせる相手。ここしばらく彼女の所を訪れて、「これはどう?」「これは?」と彼女にあれこれすすめられてもあまり仕入れられる物が無かったのだが、今日は別。久し振りに美しいめのうハンドルのタンブルフックやマザーオブパールのタンブルフックが。美しい糸巻きも出てきた。アンティークのソーイング小物は世の中に沢山あっても、本当に欲しい物はなかなか無い。私の手に入れたいのは、質感があって細工が美しい物。本当に最近これというツールと出会うのは難しい。

 美しいアメジストのブローチはジュエリーのスペシャリストから出てきた。彼女の扱うジュエリーはどれもひとつ各上。オリジナルのボックスが付いていたり、何かしらおすすめポイントがあるのだ。今日のブローチも状態の良いボックス付き。ヴィクトリアンジュエリーはアメジストを使った物が多いのだが、どうしてだかこの石に惹かれてしまうのだ。
 そしてもうひとつのジュエリーはダイヤのクローバーリング。アンティークジュエリーでクローバーをかたどった物は四つ葉ではなく三つ葉。輝きの美しいダイヤ三石を組み合わせたリングは「神」と「子」と「聖霊」のキリスト教の三位一体を示すクローバーをかたどった物。何かそういう意味のあるジュエリーに魅力を感じる。

 アポイントを入れたレースディーラー何軒かを回るともう昼近く。6時間近く歩き回っていたことになる。今日の最低気温はマイナス、昼近くになっても気温は上がらない。物を選ぶのに気持ちを集中している時には忘れていても、その実もの凄く寒い。山登り用の分厚い靴下をはいているにもかかわらず、足先はジンジン冷えてきてしもやけになりそうだ。
 それでも今日はレースに出物が。どうやら最近イギリスのどこかでレースのオークションがあったらしい。その中には見たことのないレースのラペットがひとつ。「いったいこのレースは何?」と私がまじまじと見ていると、ディーラーが教えてくれた。「これは有名なレースの研究者Pat Earnshawのコレクションだった物で、Pat本人も研究者にもかかわらずはっきりしたことが分からないと本に書いているレースだよ。研究者でも分からないなんて面白いね。」「最初、あまりにも変わったレースなので、マシーンかと思ったんだ。でも、ほら、見て。凄く細かいでしょ?」言われるままに、ルーペで眺めると信じられないほど繊細な仕事ぶり。思わず「脱帽!」という感じなのだ。今日は他にもヴェネチアンレースで出来た衣装の一部ストマッカーとか、ふんわり華麗なホワイトワークの襟、他にもホワイトワークのアイテムがザクザクと。想像していたよりも良い物が沢山見つかって嬉しい。と、同時に疲れもピーク、荷物と一緒にタクシーに乗り込み、まずは滞在していたアパートメントへ、そしてその後ユーロスターの発着するセントパンクロス駅へ。

 滞在していたアパートメントに立ち寄りスーツケースをピックアップ、なぜか行きから既に重いスーツケースふたつを積み込み、今度は駅へ。駅までタクシーに揺られつつ、疲労感でグッタリ。そんな駅までの間、タクシーは寒そうなハイドパークを縦断。そこで見た物は…頭から足元まですっぽり伝統的な黒いヘジャブを着た中東の女性。その足元はショッキングピンクのウォーキングシューズ!そう、彼女はヘジャブを着たまま寒空の下、ハイドパークでウォーキングの真っ最中。「アラブの女もウォーキングするんだ。」何だか不思議な光景だった。
 ようやくタクシーは駅へ。でもまだ電車の時間までは2時間近くある。「もっと早い電車にすれば良かった。」とボーッと車窓を眺めながら思っていると…その時重大なことを思い出したのだった!!

 なんと、最初に仕入れたトワレットセットを梱包して貰うためにディーラーに預けたまま、すっかり忘れて引き取ってこなかったのだ!!こんな失態は初めて。このままパリに向って、次回引き取ろうかと一瞬頭をよぎったのだが、幸いにして電車の時間までまだ2時間。「戻るか!」と意を決し、駅に着いたばかりのドライバーに「乗ったところに戻って欲しいの。」と懇願。きっと彼も「なんだって!?」と思ったに違いない。"Why!?"と尋ねられ、「物をピックアップしてくるの忘れた。時間は沢山あるから大丈夫。」と言うと、その顔におかしさと哀れみが混じった表情が浮かんだ。

 そして、タクシーの旅はまた振り出しに。乗ったところに戻り、スーツケースを車内に置いたままドライバーに待っていて貰って、仕入れ先に走って戻り、ハアハア息を切らしながら荷物を受取り、またタクシーに走って戻って…再び駅に戻った時には思わず「長い旅だったわ。」とドライバーに呟いてしまった。その後、無事ユーロスターに乗りパリに向うことが出来た。

やっとも思いでパリに着いたら、いつものキャフェにもクリスマスのデコレーションが。クリスマス時期のパリは心躍ります。

■12月某日 曇り
 今日も終日買付けへ。予報では今日も最高気温は4℃程度までしか上がらないらしい。分厚い買付け専用の下着の上にフリースを二枚重ね、足元だって買付けの時しか履かない山登り用の厚手の靴下をはき、その上にタイツ、さらに厚手のニットのスパッツ、最後にウールのパンツ、抜かりはない。というか、これほどの厚着をすることは日本ではまずないだろう。
 外に出ると今日もやっぱり寒い。その上、昨夜降った雨が凍って、路面はツルツル。転ばないように重心を前に掛けて猫背で歩く。早朝のパリの街、バスを待っている間に空を見上げるとまだ月が出ていた。

外はまだ夜の気配。実際に滑って転びそうになって、初めて路面が凍っていることに気付きました。

 いつものようにバスに乗り、のんびり外の景色を眺めながら乗っていると…いつも降りる目的地のバス停が道路工事で無くなっている!!そういえば、最後に降りたムッシュウが何か言いたげに私の顔を見ていたのを思い出す。バスの車内には私ひとり、あっという間にバス停のあった場所を通り過ぎ、バスはどんどん進んでいく。次のバス停で降りようとボタンを押したのに、ドライバーのムッシュウはもう誰も乗っていないと勘違いしたのか、次のバス停も通り過ぎ、さらに先へ。仕方なく「これはまずい!」と座っていたシートからドライバーの元へ走っていく。「あの工事中のバス停へ戻りたいのだけど。」とムッシュウに伝えると、「歩くしかないね。」とあっさり言うムッシュウ。「歩き!?」と大げさに返事をする私。だが、「大丈夫。あそこの信号を曲がってまっすぐ行けば5分で着くよ。」と簡単に言われ、そこでバスを降ろされた。
 誰もいない郊外の田舎道を(しかもツルツルに凍った道を)、「どうしてこんなことに?」と呟きながらひとりトボトボと歩く。だが、果たしてムッシュウの言ったと通り、5分も歩くといつもの見慣れた風景が見えてきた。それでほっとしたのだが、どうも朝からツイていない日だ。

 ようやく今日の買付けスタート。今日も何人かのディーラーとアポイントメントが。さて、今日は何が出てくるのだろうか?一番最初に訪れた先は、いつもお世話になっているディーラーへ。歳も近い彼女とは友達のような感覚、会うとまず初めは抱き合ってビズー、長年の日本人の友達ですらそんなことはしないのに、お互いに完璧に意思疎通が出来る訳ではないのに、毎度そんな挨拶をしているともの凄く近しく思えてくるから不思議だ。
 今日、箱の中から出てきたのは…小さなパニエやベルベットのソーイングボックス、それから生地も。ブルーの古典的な生地は田園柄とエンジェル柄の二種類。そして、ガサガサと箱の底から出てきた物は魅力的な薔薇模様のソープボックス。こんな素敵な柄のソープボックスが出てくるのはもう何年振りだろう。今日は他にも紙製品を色々、取りあえずあれこれ私のテイストのものが出てきてほっとする。(もっとも、長年お付き合いのある彼女がしっかり私の好みのものを集めておいてくれているからなのだけど。)

 今日のもうひとり、やはり同世代のマダムも私の訪れを手ぐすね引いて待っていた。彼女からはホワイトワークや生地などの素材を仕入れることが多い。今日出てきたのもホワイトワーク、手刺繍の様々なボーダーや、同じくシルク地に白刺繍のフィシュー、生地など。フィシューは襟元を飾る装飾のひとつ、19世紀のドレス展などでよくお目にかかるアイテムだ。ドレスそのものを手に入れることは難しいけれど、こうした小物からも19世紀当時にイマジネーションが広がっていく。

 予期せず、別な場所からは生地見本は何枚か。最近お人形の衣装に使えそうな古い生地は極力減っているので、「よしよし!」と、喜んで飛びつく。他にもペラッと置いてあったコットン生地に見覚えが!それは「赤ずきんちゃん」のプリント生地。今までにも何度か扱ったことがあるが、出会ったのは本当に久し振りだ。しかもとても状態が良い。「良かった良かった!」と、これも迷うことなく仕入れる。

 朝からお昼近くまでずっと買付け。外を歩き続けた私の足先は今日も冷え切ってジンジンしてきた。もちろん身体も同様、いくら沢山着込んでもやっぱり寒い。帽子を被っていても「頭の血管が切れそう!」と思えるほど寒い。(まさかそんなことで血管が切れたりはしないだろうが…。)思うのだが、何十代にも渡ってこの地に暮らしてきたフランス人にはこの寒さに耐えられるDNAが身体に組み込まれていても、私達日本人にとってはどう考えても過酷。戦前、フランスに留学した貧乏な画学生がお茶漬けなどの栄養の無い物ばかり食べていた挙げ句、「みんな結核で死んでしまった。」というのも分かる気がする。工事中でバスの来ないバス停を通り過ぎ、ひとつ先のバス停からバスに乗り、一旦荷物を置きにホテルに戻る。

 ホテルの暖かい部屋に戻ると、もう外に出たくない気分。でも、まだ午後からはアポイント先のマダムが待っている。日本にいる河村にiPhoneでFace time。Wifi環境さえあれば、互いに顔を見ながら、しかも海外からでも無料で話せるというのが素晴らしい。子供の頃、「未来の生活」に出てきたテレビ電話のよう、まさに「ビバ!文明」という感じなのだ。河村に「もう外に出たくない。寒さのあまり頭の血管が切れて死ぬかもしれない。」と訴えると、関西人の彼から「そんなんで死なへん!死なへん!」と私の苦労もそっちのけ、あっさり笑いながら言い返された。
 再び、泣く泣く外に出て次の商談に。今度はいつもレースを仕入れるマダム。前回9月の折にはバカンス明けで、あまり良いレースを持っていなかったのだが、今回は果たして如何に?

 レースのマダムは私の訪れを今か今かと待っていた!まずはほぼ強制的(!)にビズーで抱き合ってご挨拶。そして、前回品薄だった分を挽回するように、「これはどうだ!」「こんなのもあるぞ!」とばかりに、薄紙に包んだレースを魔法使いのように引き出しから出してみせる。そんな中、「ほ〜ら、どうだ〜。欲しいだろ〜?」という微笑みと共に出てきたのが19世紀のアランソンのボーダー三種。19世紀のアランソンが出てきたのは、久し振りのこと。マダムは私の欲しい物を知り抜いているのだ。高価なお値段におののきつつ、三種類の中から状態の良いふたつのレースをチョイス。そして、たまに恐ろしく気前の良いマダムは、「これもカドー(贈り物)。」「こっちもカドー。」と、レースは綺麗でも状態の悪いハンカチやらリボンやらを私の前に積み上げる。「そんな、どうして?」と遠慮する私に、「ノエルだから、ノエルだから。」とやたら調子が良い。私が選んだレースにマダムからただいたお土産を持たされ、「ボン・ノエル(良いクリスマスを)。ボナネ(良いお年を)。」と挨拶して別れた。

 次は前回から登場のシルク生地を扱うマダム。彼女はたぶん地方出身者のような気がする。なぜなら毎度上機嫌で、私と商談中も、私の手を握ったり、抱きしめたり、やたらスキンシップが多いのだ。「こんな人、日本にいないよな〜。」と心の中で呟きつつ、親切に生地を広げてくれるマダムと、完全に意思の疎通が出来ないなんてなんのその、「やっぱりリヨンのシルクは素敵だよね。」とか「このシルクは柄が良い。」とか話し合う。彼女のお陰で良いシルク生地が入るようになって嬉しい。

 実は、以前から見ていて、「やっぱり欲しいな。」と意を決して(というほど大げさな物でも無いが)出掛けていった先はフランスらしいブロンズフレームを扱っているマダム。今回私が手に入れたかったのは、そのブロンズフレームの中に手描きの聖母子像のポーセリンがはめられたもの。ラファエロの「小椅子の聖母」の聖母子像が美しく、ずっと前から欲しかったのだ。マダムにフレームを出して貰い、値段交渉。元々が高価な物だけに、私もシビアに交渉すると、今回はいまひとつ弱気なマダムに私の熱意の勝ち。前々から気になっていた存在だけにやっと手に入れることが出来てほっとした気持ち、河村にも早く見せたい。

 もうひとり、テキスタイルのスペシャリストのマダムからは銀糸の美しいシルク生地が出てきた。毎回、「彼女の所に行けば絶対何かある!」というディーラー、私が「お人形の衣装に使うシルク!」と毎度言っているので、彼女も小さな柄の物を探してくれるのだが、いかんせんそういうシルクは本当に少ない。どこかにザクザクないものか?でも、きょうのシルクは淡いグレイに銀糸で薔薇柄、そのうえデッドストックでとても素敵なのだ!

 あまりの寒さに泣く泣くホテルから出掛けてきた午後だが、夕方になり暗く、そしてさらに寒くなってきた。暖かいメトロに乗ると、気が抜けるのか眠くてたまらない。(でも治安の悪いパリの地下鉄内では居眠りは厳禁!)手には荷物を入れた大きなバッグと、ビニール袋に入れた折れてはいけない紙製品。が、なんとかホテルまで戻り、ふと気付くと大事に持って帰ってきた紙製品のビニール袋が無い!!さっきメトロに乗っている時には手に持っていたのに!さほど高価な物では無いが、とても気に入って手に入れた物だけに、失くしてしまったことに大ショック。疲れていたせいか、どこかで手から離れていってしまったのか…。
 がっくりしながら、もう一度夕食の買い出しのために部屋から出ると…部屋の前の廊下にビニール袋が、中身もそのままにふわっと落ちていた。

 晩は晩で、ホテルのリノベーションのためか暖房がまったく効かない。ホテルの部屋にいるというのに、カシミアのカーディガンを着てベッドに入ってもまだ寒い。結局、手っ取り早く温まるために延々一時間も入浴してしまった。

いつもは雑誌や文房具を売る近所のごく普通の文房具屋さんのウィンドウもこの通りクリスマス仕様。いつものウィンドウを知っている私にとってはまるで魔法が掛かったようでした。


ビレロイ&ボッホの食器屋さんもこの時ばかりはクリスマス用の陶磁器が並びます。まるでお伽の国のようです。


上の画像の拡大バージョン。トナカイが引くそりに乗ったサンタ。結構大がかりな陶器のオーナメントです。


前衛的(?)な近所のお花屋さんは生け花風なディスプレイ。枝物にクリスマスのオーナメントが吊されています。


ここは中世の楽曲のCDを制作している音楽事務所。手吹きの電飾が素敵、ウィンドウからも当時の音楽が聞こえてきそうです。


ANNICK GOUTALのパフィームリーもこの通り、香水瓶のツリーが。後ろから光の当たったブルーのボトルが綺麗ですね。


ノエルと言えばサントン人形!サン・シュルピス寺院脇の宗教ものを扱うショップで。日本でお留守番の河村へお土産に猫のサントン人形三匹を購入。


***買付け日記は後編へと続きます。***