「豊穣の角」や様々な植物模様、アルジャンテラグランド、
18世紀初頭のフランスのニードルレース
18世紀、レースの街として知られていたアランソンの隣町、アルジャンタン
で作られたニードルポイントレース、アルジャンタンレースです。元々アランソンよりもアルジャンタンの発祥の方が古いとされ、そのいちめんにブランケット
ステッチ(ボタンホールステッチ)を施したアルジャンタンのグランドを簡略化したものがアランソンといわれています。
こちらはグランドにいちめんブランケットステッチを施したアルジャンタングランドで、一部アルジャンテラグランド(亀甲模様の細工)が見られる点と「豊穣
の角」のモチーフが細工されている点などが興味深い長いサイズのボーダーです。「豊穣の角」はギリシャ神話に由来するモチーフで、角笛から果物や花々がこ
ぼれ、豊かさを象徴しています。
いちめんにブランケットステッチが施された繊細なアルジャンタングランドの気の遠くなるような緻密な仕事にも感心しますが(肉眼で見ただけでは、このグラ
ンドにステッチが施されているとはまったく分からないほど繊細です。)、この亀甲模様のアルジャンテラグランドのレースは希有。「アルジャンテラ」の名前
は後世に名付けられたものですが、アルジャンタンの一部と見なすのが自然だとされています。ただし、この特徴のあるグランドは、アルジャンタンだけでな
く、同時期に流行したポワン・ド・スダンやアランソンなどでも目にすることが出来ます。
「豊穣の角」と具体的ではない様々な花々の植物模様が当時の美意識を表し、想像力をかき立てます。また、模様のパターンがルーズで、しっかりした繰り返し
ではない点もこの時代のレースの特徴をよく表しています。2m以上の長さがあり、思わず模様に沿って順々にじっくり眺めてしまいます。
何カ所か傷みがあり、けっして大変良好な状態のレースではありませんが、18世紀初頭の雰囲気が伝わるおすすめのレースです。
19世紀よりも前のレースがお好きな方にはおすすめの、古いレース特有の味わい深いレースです。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。
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