ドレスデン発祥の究極のドロンワーク
ドレスデンワークは16〜17世紀、現在のドイツのザクセン州、旧ザ
クセン王国の首都ドレスデンを発祥とするホワイトワークの一種です。麻製のローン、もしくはコットン製のモスリンの薄い生地に、植物模様のサテンステッ
チ、チェーンステッチなどの刺繍、極繊細なドロンワークを施し、精緻な模様を表現した刺繍技法です。ドレスデンワークは、ドレスデンが発祥のホワイトワー
クですが、後にヨーロッパ全土で作られ、同じくスコットランドのエイシャーで作られたホワイトワーク、エイシャーワークに大きな影響を与えたとされていま
す。
18世紀後半から19世紀前半に流行したフィシュー(肩掛け)やアンガシャント(袖飾り)によく使われたことが当時の肖像画などからも分かります。
1741年に描かれたこの肖像画では、アンガシャントにドレスデンワークらしいレースがあしらわれています。
こんな薄い生地にいったいどうやって刺繍をしたのだろうかと疑問に思ってしまうほど。透けるように薄いモスリンいちめんに植物模様の刺繍、白色が濃い部分
は同じモスリンのアップリケ、植物模様にびっしりドレスデンワークを施したボーダーです。この時代らしい具体的ではない植物模様に10種類以上の繊細な種
類のドロンワークを見ることが出来、その緻密な模様には同時代のボビンレースの雪柄を思わせるものもあります。ドロンワークはすべて、糸をくくったり、引
き抜いたりする緻密な仕事によるもので、あまりの細かさ、細工の正確さに呆然としてしまうほど。裾のスカラップの部分にもすべてドロンワークが施されてい
ます。
通常のレースとは一風変わった非常に興味深い細工です。是非ルーペを片手に実物をじっくりご覧いただきたいアイテムです。生地の部分に一部、僅かに補修の
あとがあります、大変良好な状態です。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にお問い合せ下さい。
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