イギリスらしい優美な薔薇模様
ロスチャイルド家に伝わるホニトンレースの胸飾り
イギリスを代表するボビンレース、ホニトンレースはイギリスのデボンシャー
の街ホニトンで作られました。元々、ホニトンのレースメーカーがブリュッセルでデュシェスレースのレースメーカーから学んだということ、同じボビンレース
ということもあり、両者のレースは非常に似通っています。
1840年にヴィクトリア女王が、それまでの王室の伝統のウェディングスタイルだった宝石や金糸銀糸の豪華な刺繍を施した式服のかわりに、ホニトンレース
をあしらった真っ白なイギリス製のシルクドレス、やはりホニトンレースで出来たヴェールを身に着けたことから、ホニトンレースは一躍有名になりました。そ
のクオリティに感動した女王は続けて長男であるエドワード7世のために洗礼式用のベビードレスを注文し、それは現代のイギリス王室にも伝わっています。
ホニトンレースはベルギーのデュシェスレースをお手本にしたレースだけにデュシェスレースととてもよく似ていますが、輪郭線のはっきりしたデュシェスに比
べ、フラットな印象が特徴で、華やかなデュシェスに比べると素朴で愛らしい雰囲気が感じられます。また、国の一大産業であったベルギーのボビンレースに比
べ、イギリスのボビンレースはずっと数少ないように思います。
ホニトンの代表的な柄でもある優美な薔薇模様がいちめん細工されたボディス(上衣)のレース飾りです。薔薇の花芯部分の様々なフィリングも、バーに付けら
れた小さなピコットも非常に繊細なボビンの細工です。襟繰りにはホニトンレースのボーダー、本体の両脇にはコットンチュールが付けられています。大変良好
な状態で、そのコンディションの良さも際立っています。
かつてロスチャイルド家(ロンドン家)の唯一の相続人ハンナ・プリムローズ(ローズベリー伯爵夫人)(1851-1890)からその娘マーガレット・エトレン・ハンナ・プリムローズ(クルー公爵夫人)
(1881年 -
1967年)へと伝わったレースコレクションのひとつです。ヴィクトリア女王とも親しかった彼女の審美眼で収集されたレースは500点近く、このレースはその中のひとつです。
貴族のコレクションは一点一点目録に記述され管理されていますが、こちらのレースはブルーの薄紙にピンで付けられている状態で、薄紙に目録のナンバー“176
”と“dress
front”の文字が、レース本体にもナンバーが付けられています。
大変良好な状態です。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。
商品についてのご質問等は、お気軽にメール・電話・FAXにてお問い合わせください。ホームページに掲載以外の画像もご希望に応じて送らせて頂きます。