ヴィクトリア女王ゆかりのレース
ホニトンレースの広巾ボーダー
イギリスを代表するボビンレース、ホニトンレースはイギリスのデボンシャー
の街ホニトンで作られました。元々、ホニトンのレースメーカーがブリュッセルでデュシェスレースのレースメーカーから学んだということ、同じボビンレース
ということもあり、両者のレースは非常に似通っています。
1840年にヴィクトリア女王が、それまでの王室の伝統のウェディングスタイルだった宝石や金糸銀糸の豪華な刺繍を施した式服のかわりに、ホニトンレース
をあしらった真っ白なイギリス製のシルクドレス、やはりホニトンレースで出来たヴェールを身に着けたことから、ホニトンレースは一躍有名になりました。そ
のクオリティに感動した女王は続けて長男であるエドワード7世のために洗礼式用のベビードレスを注文し、それは現代のイギリス王室にも伝わっています。
ホニトンレースは元々ベルギーのデュシェスレースをお手本にしただけにデュシェスレースととてもよく似ていますが、輪郭線のはっきりしたデュシェスに比
べ、フラットな雰囲気が特徴で、通常は華やかなデュシェスに比べると素朴で愛らしい雰囲気が感じられます。また、ベルギーのボビンレースに比べ、イギリス
のボビンレースはずっと数少ないように思います。
こちらはホニトンレースで作られたボーダーです。このボーダーはホニトンの代表的な柄でもある薔薇の模様に加えて豪華な植物模様が表現されている点が特徴
です。通常「素朴な」と形容されることの多いホニトンですが、このボーダーは広巾ということもあり、ホニトンの中では珍しく華麗な雰囲気。特に裾を飾る釣
り鐘形のお花の中の透かしの細工などは非常に繊細で目を惹きます。この一見ニードルに見える透かしの細工もボビンによるもの、バーに付けられた小さなピ
コットとともに大変繊細な仕事ぶりです。
ボーダーでは珍しく、両端が綺麗に始末されている点もポイント。一度も水に浸けられたことの無い、デッドストックと思われる大変良好な状態です。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。
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