繊細なエシャーワークはヴィクトリアンならでは
薄いローン地に繊細な手刺繍とドロンワー
クを施したエシャーワーク、スコットランド西部のエシャー(エアシャー)地方特有のホワイトワークのベビードレスです。アイリッシュクロシェと同じく、貧
しい地方だったエシャーの数少ない産業のひとつがこの手刺繍のエシャーワークだったようです。
胸元にびっしり施されたごく繊細な植物模様の刺繍と小さなカットワーク。裾の部分にも優美な植物模様の刺繍が施されていて、当時の職人の繊細な仕事ぶりを
見ることが出来ます。スカート部分のフリルにも同様な植物模様の刺繍が施され、ベビードレス全体からスコットランドの豊かな自然が伝わってくるようです。
肩の部分にもいちめんの刺繍、袖の二段のフリル飾りが愛らしく、エシャワークのベビードレスに見られる特有のスタイルになっています。何より、前身頃の胸
元とスカート部分に付けられたフリル、これらの端には小さなカットワークと細かなブランケットステッチで始末され、その地味ながら膨大な仕事量に呆然とし
てしまいます。すべてが手縫いによるハンドメイドの仕事です。ヴィクトリアン初頭の手仕事を堪能していただけるアイテムです。
当時、こうした手の込んだドレスは、いわゆる良家の子女(男の子も女の子も)のために作られたもの、このようなエシャーワークは19世紀前半1830年頃
のものと思われます。胸元の左下部分と左裾部分に補修部分がありますが、裾の方はフリルで隠れてしまう箇所です。この時代のものとしては大変良好な状態で
す。
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