蝶々と麻の葉模様、ボンボン付き
興味深いモチーフのアイリッシュクロシェの襟
両端と後ろ側の左右に立体的な蝶々のモチーフ、後ろ側の中央には花芯にボンボンが付けられた立体的な大輪のお花のモチーフ、そして襟の左右には、生命力が強く繁栄を願う文様として知られる麻の葉をかたどったモチーフ。様々なモチーフが編み込まれた大変手の込んだアイリッシュクロシェのかぎ針編みの襟です。
周囲には沢山の可愛いボンボンの細工、襟の内側には三重になった花びらの小さな薔薇模様が連なっています。特に蝶々のモチーフは写実的で、繊細な触覚までも表現されています。麻の葉の模様は力強く、愛らしい蝶々のモチーフと対比になっています。
本来一般的なアイリッシュクロシェによく見られある薔薇とクローバーなどとは違った植物モチーフで、沢山のボンボンが特徴です。細い糸で編まれた重厚感のあるレースで、手に取ると糸の重みが感じられます。かぎ針のレースとしては非常に繊細な作りです。
実際に身に着けることが出来る大変良好な状態です。手洗いでしたらお洗濯も可能な、実用的なレースです。
こうしたアイリッシュクロシェの編み方を考案したのはイギリス在住だった手芸家リエゴです。Mademoiselle
Eleonore Riego de la
Branchardiereが正式名で、アイルランド人の母と亡命スペイン系フランス貴族の父の間に生まれました。(本人はマドモアゼル・リエゴと呼ばれるのを好んだという記述を見つけましたので、本人の中ではフランス貴族の血にプライドを持っていたのでしょう。)若い頃から手芸に長けていたリエゴは18歳でかぎ針編みのパターンブックを出版し、生涯手芸に関する72冊の本を出版しました。また、彼女が出版したアイリッシュクロシェのパターンブックは、1845年から1852年に渡ったアイルランドの大飢饉の折、多くのアイルランドの人々を飢饉から救う手助けになりました。
1851年、彼女は第一回ロンドン万国博覧会に参加し、スペインのレースやその他の高価なニードルレースを絶妙に模倣したかぎ針編みで金賞を受賞しました。1855年、1862年、1872年の万博でも賞を受賞しています。そして、19世紀半ばには、結び目のない、ピコットの部分を編みつなぐ現代の技法に近いタティングレースを考案し、それにより、より多くの女性がタティングレースを作るきっかけになりました。また、ヴィクトリア女王の母ケント公爵夫人などロイヤルファミリーの御用手芸家としても活躍しました。1887年、リエゴは59歳の生涯を閉じました。
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