L-114-4
ポワン・ド・フランス ボーダー
 
 











年代:フランス17世紀末から18世紀初頭
材質:リネン
SIZE:幅7.5cm 長さ50cm

85,800
(¥78,000)

極小のピコットが付けられた六角形のグランド、
ヴェネチアンからポワン・ド・フランスへの過渡期のレース

17世紀中頃、イタリアのレースは、プント・イン・アリアからグロ・ポワンと呼ばれる立体的なヴェネチアンレースへと発展しました。同じ頃、ルイ14世の宰相コルベールは、フランスでも人気だったイタリアのレースに対抗するため、ヴェネチアとフランドルから熟練したレース職人を呼び寄せ、1665年8月5日にケノア、アラス、スダン、ルーダン、ヤック、シャトー・ティエリー、アランソンに王立レース製作所を創設し、今までにないまったく新しいレース、ポアン・ド・フランス(「フランスのレース」の意)を作らせることを始めました。
元々は、グロ・ポワンのコピーから始まったこの新しいレースは、グロ・ポワンから厚みのあるレリーフを取り除き、細かいピコットや、緻密なボタンホールステッチからなる六角形のグランドに整然とモチーフを並べ、フランスの繊細な美意識を表現した女性的な雰囲気を持つレースとなりました。
このレースは非常に成功をおさめ、ついには近隣のベルギーやイタリアからこのレースを模倣されるまでに至ったのですが、他の国々では既に追いつくことは出来ませんでした。そして、このポワン・ド・フランスこそが、後の時代、ポワン・ダルジャンタン(アルジャンタン)、ポワン・ダランソン(アランソン)やポワン・ド・スダンなどのフランスレースへと発展していく基となったのです。

糸の細さはこの時代のレースならでは。その立体的なニードルのお花の細工はヴェネチアンレースのポワン・ア・ラ・ローズを思わせる、レースの覇権がヴェネチアンからポワン・ド・フランスへ移っていった過渡期を思わせるボーダーです。

極小のピコットの付けられた六角形のグランドはポワン・ド・フランスの特徴。その密度の高い細工から当時の雰囲気をお楽しみいただけるレースです。フランスの創生期のレースの魅力が十分感じられ、よくよくルーペで確認すると、現代では考えられないほど細い糸で、小さなピコットの付いたグランドがすべてボタンホールステッチで成形されていることが分かります。唐草(珊瑚)を思わせる模様、小さなパールで形作られたモチーフや、ごく繊細な花びらの愛らしいお花の細工も見られます。ルーペで眺めると、当時の職人の気が遠くなるような仕事ぶりに感動してしまいます。出来ることなら、是非店頭でルーペでご覧いただきたいレースです。

ヨーロッパでは、こうしたレースは財産のひとつとみなされ、代々一族の女性達が受け継いでいくことが常でした。17世紀末から18世紀初頭の、300年以上前の非常に繊細な作りにもかかわらず、傷みのない大変良好な状態です。この時代のこのクラスの上質なレースが巡り会うことは、21世紀の現代では非常に稀です。19世紀よりも前のレースがお好きな方にはおすすめ、古いレース特有の味わい深いレースです。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。

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