L-109-1
ブリュッセル・ニードルレース ラペット
 
 














 


年代:ベルギー18世紀前期
材質:リネン
SIZE:ラペット W 10cm×H 150cm
台布 W 11.5m×H 138cm

418,000
(¥380,000)

アルジャンタン?アランソン?それはミステリアスなラペット

両縁のニードルの透かしの細工や薔薇のモチーフを見て、一瞬、「アルジャンタン?」と判断したのですが、よくよくグランドをルーペでチェックすると、なんとボビンによるドロシェルグランド。こちらは1820年〜30年頃にベルギーで作られたと思われるニードルポイントレース、ブリュッセル・ニードルの非常に長いラペットです。

それもそのはず、18 世紀初頭のブリュッセル・ニードルは、同時代のフランスレースのデザインに強い影響を受けたことが特徴で、非常に似通ったデザインのレースが作られました。また、ブリュッセル・ニードルはボビンレース用に開発された細い糸で作られているため、フランスのニードルレースに比べて比較的軽量なレースだったことも特徴です。

このラペットは同時代のフランスレース、アルジャンタンに近い柄である点が特徴で、グランド以外花模様や両端の繊細な透かしの細工はすべてニードルによるものです。その模様は、同時代のフランスレースと同様、ヨーロッパで大流行したインド更紗を思わせます。また、ボビンで織られたグランドは非常に緻密で繊細です。

このレースが一番近いと思われるのは、
「Antique Lace: Identifying Types and Techniquesの68ページにあるブリュッセル・ニードルのボーダーで、「伝統的な」と形容されている薔薇模様と、このラペットの薔薇模様が非常に似ていることも、興味深いと思います。この本の中のブリュッセル・ニードルは「1755-75」と記載がありますが、今回のラペットの方が模様も細工もさらに複雑で繊細なため、この年代より確実に古い18世紀前半のレースと思われます。

また、アルジャンタンが人気を博していた時代ですので、「それにあやかろうとブリュッセルでも似たものを作ってみた。」という感じでしょうか。このラペットの比較的下側の蘭のような模様も、
「ヨーロッパのレース―ブリュッセル王立美術歴史博物館所蔵」に掲載されているアルジャンタンのラペットにそっくりな模様が見られます。

そしてもうひとつ、このラペットがユニークな点は、両端の約17cmのグランドがアランソングランドである点です!元々のラペットに、アランソンを組合せたと思われるのですが、ネット以外のニードルの細工部分は、模様も透かしの細工も、元々のラペット本体の装飾と遜色なく、ほぼ同じ模様になっています。フランスから注文されたこのレースを、ラペットが完成した後、どうしてももう少し足したくて自国のアランソンで足したのかしら?という感じです。(当時、高貴な身分の女性ほど長いラペットを身に着けました。)ブリュッセル・ニードルで作られたラペット本体も、先端のアランソンの部分も、花模様も透かしの細工もほぼ同じで、ネットの繊細さも違わず、まったく違和感が無く、時代の差も感じられません。

こちらは黒色の台布にピンで付けられています。(ピンを外していただければ、台布からは簡単に外れます。)全体の状態は比較的良好ですが、グランドの画像を見ていただければお分かりいただける通り、プロによる補修のあとがあり、代替りの度に専門店で手入れをされ、大切に受け継いできた物だということが分ります。かつてレースは宝石と同様に相続の対象でした。その際には専門店に査定とクリーニング、修復に出されました。こうしたレースには、度々財産目録のナンバー付きで出てくるものを目にすることがあります。

ラペットは17世紀末に登場する髪飾りの一種で、結った髪から首筋をひらひら飾るエレガントなアクセサリーです。当時の肖像画(「皇帝フランツ一世、女帝マリア・テレジアとその子供達」部分1756年)などでもその使われ方を確認することが出来ます。フランスではバルブ(髭)と呼ばれ、17世紀に登場した際には二本に別れたものでしたが、年代と共に形が変化し、19世紀には一本につながった形が主流となりました。

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