繊細で緻密な見事な白刺繍!エシャーワークの洗礼式用ドレス
薄いローン地に繊細な手刺繍とドロンワークを施したエシャーワーク、スコットランド西部のエシャー(エアシャー)地方特有のホワイトワークのベビードレスです。アイリッシュクロシェと同じく、貧しい地方だったエシャーの数少ない産業のひとつがこの手刺繍のエシャーワークだったようです。
胸元にびっしり施されたごく繊細な植物模様の刺繍とニードルの細工、ドロンワークの数々。裾の部分にも広範囲に渡って、同じく密度の高い華やかな花模様の刺繍が施されていて、それぞれの繊細なニードルの細工やドロンワークには思わず目を見張ってしまいます。ベビードレス全体のその植物模様の刺繍からは、スコットランドの豊かな自然が伝わってくるようです。
袖の四段のフリル飾りが愛らしく、こうしたベビードレスに見られる特有のスタイルになっています。前身頃の胸元とスカート部分に付けられた両脇のフリル、これらの端には小さなカットワークと細かなブランケットステッチで始末され、その地味ながら膨大な仕事量に呆然としてしまいます。すべてが手縫いによるハンドメイドの仕事で、当時の職人の際だった美しい仕事ぶりを見ることが出来ます。ヴィクトリアン半ばの手刺繍のホワイトワークを堪能していただけるアイテムです。
また、身頃とスカート部分は小花模様の刺繍のボーダーでつながっていて、スカートのギャザー部分は、前側、後ろ側とも非常に細やかなシャーリングが施され、ドレス自体は後ろあきで、二箇所細い綿テープで結わえるようになっています。このようなエシャーワークは19世紀半ばのものと思われ、当時、こうした手の込んだドレスは、いわゆる良家の子女(男の子も女の子も)のために作られたもの。洗礼式のためのセレモニー用のドレスで、代々大切に受け継がれた品と思われます。僅かな時間しか着せられなかったセレモニー用のドレスですし、その子供の誕生を祝う大切な記念の品だったということもあり、このように良い状態で出てくる物も少なくありません。
こちらには後の時代に作られたシンプルなアンダードレスも付属しています。向かって左側面のスカートのすそに僅かなしみがありますが、ひだに隠れてしまいほとんど目立ちません。(アンダードレスの裾にも一箇所ごく淡いしみがあります。)それ以外は大変良好な状態です。
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