大判で非常に豪華!18世紀前期のブリュッセルレースパネル
これほど大判のブリュッセルレースは美術館でしか見たことがありません。巾が63cm、長さは180cm、大判ですが(ここまで大判なので、家具の飾り、もしくは教会の祭壇の飾りだったのかもしれません。)、けっして細工が粗い訳ではなく、繊細で、しかも「受胎告知」を表す壺やかごに入ったお花の模様も大変興味深い、同時代のレース全般に見られる、当時ヨーロッパで人気だったインド更紗を思わせるエキゾチックなデザインです。
東洋風の壺やバスケットに入ったお花は、巻物を思わせる渦巻きのような形態のカルトゥーシュ状のフレームの中にデザインされていて、そのフレームにはチェックやアーガイルを思わせる繊細な細工が施されています。壺やバスケットに施された繊細な雪柄は、中央に穴の空いたパートリッジ・アイ(ヤマウズラの目)。フレームの内側は、極小のピコットの付いたバーでつなげられて
います。模様と模様をつないでいるのはドロシェル・グラウンドです。
フレームの周囲もお花づくし、お花そのものも透けるほど薄いトワルで、そのトワルの部分からもこの時代ならではの非常に細い糸で織られている事が分かります。当時、こうした繊細なレースを織ることが出来る優秀なレース職人がいたことはもちろんですが、そのレースに使うための極細の糸を撚ることが出来る職人も存在したということでしょう。(当時、レース糸に使われていた麻の品種は、その後絶滅してしまったため、現在では存在しません。)また、フランドルレースの糸の原料である麻を栽培するには非常に多くの工程があり、その作業自体も大変デリケートで手間のかかることだったと伝えられています。
お花の模様は、この時代らしく、それが何の植物かはっきりと分る具体的な模様ではありませんが、それがかえって当時の人々が何を表現しようとしたのか想像力が掻き立てられ、いっそう興味が湧きます。大判で豪華で華麗なレースです。大変良好な状態です。
18世紀のレースは非常に貴重になってきています。19世紀よりも前のレースがお好きな方にはおすすめの、古いレース特有の味わい深い
レースです。
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