L-107-5
ポワン・ド・スダンもしくはアルジャンタン ボーダー(二本一組)
 
 










年代:フランス1720年代〜30年代
材質:リネン
SIZE:巾6cm×長さ43 cm, 巾6 cm×長さ42cm

198,000
(¥190,000)
目を見張るばかりの繊細さ、18世紀前期のアンガジャントとお揃いのボーダー

17世紀中頃、イタリアのレースは、プント・イン・アリアからグロ・ポワンと呼ばれる立体的なヴェネチアンレースへと発展しました。同じ頃、ルイ14世の宰相コルベールは、フランスでも人気だったイタリアのレースに対抗するため、ヴェネチアとフランドルから熟練したレース職人を呼び寄せ、1665年8月5日にケノア、アラス、スダン、ルーダン、ヤック、シャトー・ティエリー、アランソンに王立レース製作所を創設し、今までにないまったく新しいレース、ポアン・ド・フランス(「フランスのレース」の意)を作らせることを始めました。
元々は、グロ・ポワンのコピーから始まったこの新しいレースは、グロ・ポワンから厚みのあるレリーフを取り除き、細かいピコットや、緻密なボタンホールステッチからなる六角形のグランドに整然とモチーフを並べ、フランスの繊細な美意識を表現した女性的な雰囲気を持つレースとなりました。
このレースは非常に成功をおさめ、ついには近隣のベルギーやイタリアからこのレースを模倣されるまでに至ったのですが、他の国々では既に追いつくことは出来ませんでした。そして、このポワン・ド・フランスこそが、後の時代、ポワン・ダルジャンタン(アルジャンタン)、ポワン・ダランソン(アランソン)やポワン・ド・スダンなどのフランスレースへと発展していく基となったのです。

こちらは、上記のような経緯を経て、18世紀初頭に作られたポワン・ド・スダンのボーダーです。ポワン・ド・スダンの特徴でもあるインドやペルシャの影響が感じられるエキゾチックな植物模様で、特に写実的な葡萄模様が特徴です。「豊穣」を表す葡萄(立体的に見えるよう、一粒の葡萄の実の中にいくつかの細工が組み合わされています。)と「永遠」を表す棕櫚の模様、当時東インド会社を通じてヨーロッパに流入し、ヨーロッパで流行したイン ド更紗由来と思われる羽根や大輪の花、ところどころ愛らしい小花模様。ポワン・ド・スダンらしいエキゾチックな雰囲気です。びっしりステッチが施された六角形のグランドはアルジャンタンを思わせ、非常に細やか。棕櫚の模様等々の細工の一部にはブリュッセルニードルに似た部分もあります。模様の内側の様々な透かしの模様も非常に繊細です。

また、後の時代に付けられものと思われますが(最近付けられたものではありません。)、上側はリジエ(「縁(ふち)」の意。)の極細のボーダー状のレースが付けられています。そんな点からも、長年きちんと管理されてきたことが感じられます。優しいクリーム色で、経年変化のごく淡いしみはあるものの、18世紀前期で非常に繊細な作りにもかかわらず、傷みのない大変良好な状態です。こうしたレースは財産のひとつとみなされ、代々一族の女性達が受け継いでいくことが常でした。300年程前のレースとは思えない大変良好な状態です。この時代のこのクラスの上質なレースが巡り会うことは、21世紀の現代では非常に稀です。19世紀よりも前のレースがお好きな方にはおすすめ、古いレース特有の味わい深いレースです。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。こちらは
L-107-4のアンガジャントと一緒に出てきたものです。同じドレスに付けられていたものと思われます。

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