糸の細い繊細なボビンレース、19世紀のメヘレンのボー ダーです。（メヘレンは17世紀半ばまで遡ることが出来るレースですが、様々な変遷を経て、19世紀にはこのようなレースになりました。）グランドに小花 が飛び、スミレのお花と葉っぱが連なるレースです。それぞれのモチーフの縁にはメヘレンの特徴でもあるはっきりとしたギンプ（モチーフの縁取りのやや太い 糸）が見られ、非常に細い糸で織られていて、とても軽やかなでしなやかなメヘレン特有の繊細な質感が感じられます。

メヘレンはフラマン語（オランダ語のベルギー方言)での呼び方で、フランス語ではマリーヌ、英語ではメクリンとも呼ばれています。しなやかでデリケートな 質感で、六角形のネットの上下2辺が太くなった独特のグランドの織り方に特徴があるボビンレースです。大変細い糸を使ったことから「幻のレース」と呼ばれ ましたが、繊細であるがゆえ数あるレースの中でも、もっとも早くに衰退してしまったと言われています。

ルーペで覗くと、メヘレン独特のグランドが確認出来ると共に、このレースがどんな細い糸で織られたかが分かります。1箇所、スミレの花芯の部分に傷みがありますが、それ以外は大変良好な状態です。

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