侯爵家の紋章入り、
フルール・ド・リス模様のホワイトワークとヴァランシエンヌレースのハンカチ
薄いローン地に豪華な侯爵家の紋章、縁に透かしのニードルの細工を施
したフルール・ド・リス(百合の紋章)と花模様の手刺繍、その内側に小花模様が連なる刺繍。周囲に、フルール・ド・リス模様の刺繍と呼応したフルール・
ド・リス模様を織り出したハンドのボビンレース、ヴァランシエンヌレースで飾った非常にゴージャスなハンカチです。
侯爵家を表す王冠を掲げ、白鳥を組合せたモノグラム刺繍は、非常に緻密で、白鳥の羽毛の毛並みまでもが立体的に表現されています。それぞれの盾にも、片側
に白鳥、もう一方に三羽の鳥が刺繍されています。盾の内側にもびっしりと密度の高いステッチが施されていて、紋章の下側のリボンにはラテン語で
“VIRTUTE NITET(「輝く美徳」の意だと思われます。)”の文字が刺繍されています。
ローン生地に刺繍されているフルール・ド・リスの模様は、ニードルによる様々な透かしのフィリングが細工され、その周囲の生地の部分もびっしりと極小のス
テッチが施されています。こうしたホワイトワークのハンカチはヴァランシエンヌレースで飾られるのが定番ですが、こちらはホワイトワークのフルール・ド・
リスの刺繍に合せた珍しいフルール・ド・リス模様。初期のヴァランシエンヌレースはファイブホールグラウンド、その後ラウンドヴァランシエンヌ、ダイアモ
ンドシェイプとヴァランシエンヌのグランドは変遷していきますが、こちらは四角いダイアモンドシェイプです。
当時、こうしたハンカチはいわゆる手に持つアクセサリー。高貴な女性のためのもの、婚礼のために誂えられたと思われる非常に美しいハンカチです。繊細でデ
リケートな品なので、出来ることなら、是非実際にご覧いただきたいアイテムです。
聖母マリアの花として知られる百合。百合の紋章フルール・ド・リスは「愛」「創造」「権威」を表しています。そのフルール・ド・リス模様が多用されていることから、フランス王室とも縁のあった女性、もしくは同じくフルール・ド・リスが国の紋章だったブルゴーニュ公国に縁の深い女性の持ち物だった可能性があります。いずれにしても高貴な女性の持ち物であったことは間違いありません。
やや大振りでエレガント。この時代にしかあり得ない、手仕事の粋が凝縮されたハンカチです。大変良好な状態です。
絵のように飾っていただけるため、額装がおすすめです。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にお問い合せ下さい。
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