年代:ベルギー18世紀前期
材質:リネン
SIZE:W 13cm×H 61cm
ペア ¥418,000
(¥380,000)
カーネーションなどの百花繚乱、
18世紀前期のブリュッセルレースのラペット
ラペットは17世紀末に登場する髪飾りの一種で、結った
髪から首筋をひらひら飾るエレガントなアクセサリーです。当時の肖像画(「皇帝フランツ一世、女帝マリア・テレジアとその子供達」部分1756年)などで
もその使われ方を確認することが出来ます。また、キャップクラウンという半円形の頭飾りの下側に付ける飾りとしても使われました。フランスではバルブ
(髭)と呼ばれ、17世紀に登場した際には二本に別れたものでしたが、年代と共に形が変化し、19世紀には一本につながった形が主流となりました。
一番下には受胎告知に由来するポット(バスケット)にお花が生けられたPotten
Kant
(ポテンカント)と呼ばれる模様、中央とその上に角笛からお花が溢れ出す「豊穣の角」の模様、いずれもカーネーション(西アジアから輸入されたカーネー
ションは、当時のヨーロッパで人気が高く、17世紀のオランダでは400種類もの品種改良がされたほど愛好されました。同時代のオランダ絵画でよく目にす
るのはそのためです。)と思われるお花があしらわれ、他にも様々なお花が咲き乱れる百花繚乱の模様、1730年頃のものと思われる美しいラペットです。そ
のデザインは、同時代のレース全般に見られる当時ヨーロッパで人気だったインド更紗を思わせるエキゾチックなデザインです。
グランドはドロシェルグランド。模様のあちらこちらには何種類もの繊細な雪柄やダイヤ模様の細工、小花の周囲は極小のピコットの付いたバーでつなげられて
います。ラペットの周囲にも小さなピコットがびっしり施された緻密な細工です。透け感のある薄いトワルの部分にも小花模様がはめ込まれていて、アクセント
になっています。この時代らしく、それが何の植物かはっきりと分る具体的な模様ではありませんが、それがかえって当時の人々が何を表現しようとしたのか想
像力が掻き立てられ、まるでひとつの物語を見ているようです。その繊細な細工は、ルーペで眺め始めると止まらなくなってしまいます。繊細でデリケートな品
なので、出来ることなら、是非実際にご覧いただきたいアイテムです。
透けるほど薄いトワルからもこの時代ならではの非常に細い糸で織られている事が分かります。当時、こうした繊細なレースを織ることが出来る優秀なレース職
人がいたことはもちろんですが、そレースに使うための極細の糸を撚ることが出来る職人も存在したということでしょう。(当時、レース糸に使われていた麻の
品種は、その後絶滅してしまったため、現在では存在しません。)また、フランドルレースの糸の原料である麻を栽培するには非常に多くの工程があり、その作
業自体も大変デリケートで手間のかかることだったと伝えられています。
元々作られた二本が揃っており、ごく僅かなピンスポットがあるものの、ほぼ完品と言って良い大変良いコンディション。ミュージアムピースと言って良いレー
スだと思います。18世紀のレースは非常に貴重になってきています。19世紀よりも前のレースがお好きな方にはおすすめの、古いレース特有の味わい深い
レースです。普段から絵のように飾ってお楽しみいただけるため、額装もおすすめ。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。
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