「東インド会社」のボックス付き、
1720年頃のブリュッセルレースのラペット
ラペットは17世紀末に登場する髪飾りの一種で、結った髪から首筋を
ひらひら飾るエレガントなアクセサリーです。当時の肖像画(「皇帝フランツ一世、女帝マリア・テレジアとその子供達」部分1756年)などでもその使われ
方を確認することが出来ます。また、キャップクラウンという半円形の頭飾りの下側に付ける飾りとしても使われました。フランスではバルブ(髭)と呼ばれ、
17世紀に登場した際には二本に別れたものでしたが、年代と共に形が変化し、19世紀には一本につながった形が主流となりました。
受胎告知に由来するポット(バスケット)に様々な植物が生けられたPotten
Kant
(ポテンカント)と呼ばれる模様、その中には「豊穣」を意味するナツメヤシや麻の実を思わせる模様も見受けられます。まるで夢の中の情景のような不思議な
植物が表現され、可愛い花々が咲き乱れる非常に密度の高い細工です。何種類もの繊細な雪柄や地模様、透けるように薄いトワル。お花模様がそのトワルの部分
にはめ込まれたような細工も目を惹きます。
この時代らしく具体的な模様ではありませんが、それがかえって当時の人々が何を表現しようとしたのか想像力がかき立てられます。その繊細な細工は、ルーペ
で眺め始めると止まらなくなってしまいます。繊細でデリケートな品なので、出来ることなら、是非実際にご覧いただきたいアイテムです。
ラペットの周囲には小さなピコットがびっしり施され、透けるほど薄いトワル(生地)からも、この時代ならではの非常に細い糸で織られている事が分かりま
す。約300年前の当時、こうした繊細なレースを織ることが出来る優秀なレース職人がいたことはもちろんですが、こうしたレース糸を栽培するのに、何百も
の工程が必要だったと聞きますし、そのレースに使うための極細の糸を撚ることが出来る職人も存在したということでしょう。(当時、レース糸に使われていた
麻の品種は、その後絶滅してしまったため、現在では存在しません。)
こちらはヨーロッパのレース―ブリュッセル王立美術歴史博物館所蔵の
80ページに掲載されているラペットの非常に近いと思われます。元々作られた二本が揃っており、大変良いコンディション。ミュージアムピースと言って良い
レースだと思います。18世紀のレースは非常に貴重になってきています。19世紀よりも前のレースがお好きな方にはおすすめの、古いレース特有の味わい深
いレースです。普段から絵のように飾ってお楽しみいただけるため、額装もおすすめ。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。
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