L-102-5

アランソン キャップクラウン

 

 

 


年代:フランス18世紀前期
材質:リネン
SIZE:W 27cm×H 21cm

107,800
(¥98,000
)

丸い形が特徴、18世紀前期のアランソンのキャップクラウン

17世紀中頃、イタリアのレースは、プント・イン・アリアからグロ・ポワン と呼ばれる立体的なヴェネチアンレースへと発展しました。同じ頃、ルイ14世の宰相コルベールは、フランスでも人気だったイタリアのレースに対抗するた め、ヴェネチアとフランドルから熟練したレース職人を呼び寄せ、1665年8月5日にケノア、アラス、スダン、ルーダン、ヤック、シャトー・ティエリー、 アランソンに王立レース製作所を創設し、今までにないまったく新しいレース、ポアン・ド・フランス(「フランスのレース」の意)を作らせることを始めまし た。
元々は、グロ・ポワンのコピーから始まったこの新しいレースは、グロ・ポワンから厚みのあるレリーフを取り除き、細かいピコットや、緻密なボタンホールス テッチからなる六角形のグランドに整然とモチーフを並べ、フランスの繊細な美意識を表現した女性的な雰囲気を持つレースとなりました。
このレースは非常に成功をおさめ、ついには近隣のベルギーやイタリアからこのレースを模倣されるまでに至ったのですが、他の国々では既に追いつくことは出 来ませんでした。そして、このポワン・ド・フランスこそが、後の時代、ポワン・ダルジャンタン(アルジャンタン)、ポワン・ダランソン(アランソン)やポ ワン・ド・スダンなどのフランスレースへと発展していく基となったのです。

こちらは、上記のような経緯を経て、18世紀前期に作られたアランソンのキャプクラウンです。通常は半円形のキャップクラウンですが、こちらは円形の珍しい形。ヘッドドレスを構成する18世紀のレース特有の服飾アイテムです。

グランドは繊細なアランソンのネットで、中央にはエキゾチックで華麗なお花模様、受胎告知に由来するポット(バスケット)にお花が生けられたPotten Kant (ポテンカント)のようにも見受けられます。周囲はお花などの植物模様と繊細な二種類のニードルの透かしの細工。この周囲やお花のモチーフに見られるバー でつないだようなニードルの細工には極小のピコットも付けられています。お花の生けられたポット部分の亀甲文を思わせるニードルの細工も特徴です。

グランド部分も非常に糸が細く繊細、一部傷みがあり完璧な状態ではありませんが、約300年前の18世紀前期の雰囲気が伝わるおすすめのレースです。18 世紀のレースは非常に貴重になってきています。19世紀よりも前のレースがお好きな方にはおすすめの、古いレース特有の味わい深いレースです。

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