淡いルビーの色合いが優しい、
ジョージアンスタイルのメモリアルリング
テーブルカットを施した淡い色合いのルビーにフォイルバック(石の裏側に薄
い金属片や箔を入れて石を輝かせること。)を施し、石の色を引き立たてるクローズドセッティング、その周りをシードパールで取り巻いた典型的なジョージア
ンスタイルのリングです。中央のルビーもシードパールも、ゴールドを宝石側に倒し伏せ込んでセットするベゼルセッティングで留められています。
まだ電気がなかったジョージアンの時代、灯りといえばキャンドルの灯りしかありませんでした。そういう環境の中で、当時、石の輝きよりも石の色合いを見せ
ることに重点が置かれ、こうしたクローズドセッティング、さらにフォイルバックを施したしたジュエリーが数多く作られました。
裏側に「1842年」の彫刻のあるジョージアンスタイルのメモリアルリングです。ベゼルの裏側には次の文字が彫刻されています。
AGNES
MOT(フランス語で「格言」の意) BRISTOW
OBIT(DIEDの意) 21TH AUGUST
1842 15YEARS
&5DAYS
おそらく1842年8月21日金曜日に15歳で亡くなったAGNES
BRISTOW(アグネス・ブリストウ)を偲んで作られたリングで、彼女の母親が身につけていた物だと思われます。娘が亡くなった悲しみを癒すために作ら
れたものかもしれませんし、娘のことをずっと忘れないようにとの思いが込められていたのかもしれません。こうしたストーリー性のあるメモリアルなジュエ
リーはアンティークならでは。二百年近い時を経ても母親の気持ちが伝わってくる美しいリングです。
刻印は見当たりませんが、地金は15K、もしくは18Kと思われるハイキャ
ラットと思われるイエローゴールド。シードパールをセットした台座にはハンドメイドならではの繊細なミルグレインの細工。ベゼルの両脇にもシードパールが
三粒ずつセットされ、透かしの細工になっています。その横のシャンクの部分にもジョージアン特有の手彫り彫刻による薔薇の細工を見ることが出来ます。ル
ビーの透明感、きらめきも美しく、実際に指にはめていただくとジョージアン独特の存在感を感じていただくことが出来ます。大変良好な状態です。
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