貴婦人の舞踏会の小道具、リングが小粋なカルネ・ド・バル
フランスのノルマンディー地方の港町、ドーバー海峡を望むディエップは中世
より貿易港として栄え、16〜19世紀には西アフリカのコート・ジボワール(象牙海岸)から沢山の象牙が運ばれました。ディエップは最盛期には
400〜500人の象牙彫刻の職人がいたとされ、そうした象牙彫刻の工芸品はそこから再びヨーロッパ中に輸出されました。
両面の表紙も、中の5枚のページもすべてアイボリーで作られた“Carnet
de Bal
(カルネ・ド・バル)”、舞踏会の手帖です。表表紙には“M”と“B”を組合わせた美しいモノグラムがあしらわれています。アイボリーのページには付属の
ペンシルでダンスの相手の名前をメモし、後はセーム革で消しました。アイボリー製のペンシルは手帖の片側にホールドすることが出来、手帖本体とペンシルは
チェーンでリングに付けられていています。実際にダンスをする時は指にリングをはめて使ったようです。
こうした贅沢な舞踏会の手帳は、舞踏会で踊る順番や、逢い引きの予定などを書きこんだ当時の淑女の恋愛の小道具。シルクやレースなど豪華な衣装に身を包
み、沢山の宝飾品を身に着けた舞踏会で手にされる物だけに、衣装に合わせた豪華な細工が特徴で、当時の貴族階級の富を感じていただくことが出来るアイテム
です。
アイボリー製のページにはダンスの順番でしょうか、数字が羅列されていて、まるで19世紀当時の舞踏会のシーンが頭に浮かぶようです。大変良好な状態です。
エンジェルコレクションは環境省・経済産業省が許可する象牙・タイマイ等を取り扱う「特定国際事業者」です。このたびのイギリスの象牙製品の販売全面禁止にともない、今後象牙製品の輸入が難しくなることが考えられます。
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