女神とキューピッドの絵付けが絵画的
滑らかなエナメルの素材感も魅力的なフラコン・ア・セル
「フラコンflacon(フランス語で「瓶」の意)」は日本語で「香水瓶」と称されることが多いのですが、実際には香水瓶ではなく「気付け薬入れ」のこと。「フラコン・ア・セルFlacon
a sels」が正確な名称です。
表側には二人の女神とキューピットが、側面には可愛い二人のキューピッドが、エナメルでハンドペイント。柔らかでデリケートな色調で、繊細なタッチが非常に絵画的、マットな質感も魅力的です。ふたはヒンジ付き、外側の金属部分も、ふたを開けた内部も酸化しないように、シルバーを鍍金したヴェルメイユで出来ていて、小さなガラス製の中ぶたも残されています。外側のヴェルメイユには、繊細な細工が施されていて、エナメル特有の冷たく滑らかな質感が魅力的。フランスアンティークならではの上質なエナメル製品です。
「気付け薬入れ」とは、貴婦人が気付け薬を入れて携帯していたエレガントで小粋な化粧小物のひとつ。当時の気付け薬とは、芳香塩(酸っぱい匂いのする酢酸の結晶、お酢の結晶ですね。)のことで、女性の身だしなみとして携帯されていました。今でもたまに芳香塩が入った状態で出てくるものもありますが、長い年月の間が経ち、匂いは失われてしまっています。
19世紀当時、高貴な女性達の間では「タイト・レイシング」と呼ばれるコルセットで身体を極端に強く締め付けることが流行しましたが(肋骨が変形するまで締め上げた当時の平均ウエストは54cmだったのだそう!)、そうした無理な体形維持のために健康を害し、また暖炉を燃やした際の二酸化炭素のせいで気分が悪くなって、ひんぱんに失神したため(わざと失神した可能性も…。当時は美しく失神することを指南する本まであったとか。いかにか弱く見せることに女性達は腐心したようですね。)、女性達はこうした気付け薬入れを常に携帯していました。
当時の高貴な女性の持ち物であったフラコンがこちらです。女神と愛らしいキューピッドの組合わせとデリケートな色合いがフランスらしい、フェミニンで重厚感のあるアイテムです。コレクションにおすすめな当時の貴婦人に由来する美しいエナメルアイテムです。大変良好な状態です。
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