写実的な宿り木の細工、
アール・ヌーボー期のシルバー製マッチケース
大地に根を張らず、他の樹木に寄生して繁殖する宿り木は「再生」のシンボル。古いケルト文化では「繁栄」「豊穣」の印でもあり、「厄除け」としても知られています。フランスでは、現代でも柊と並び新年の飾りとして愛されている植物です。また、ヨーロッパの地方に出掛けると、広葉樹に寄生する丸い宿り木のかたまりをよく目にします。
そんな宿り木は、アール・ヌーボーの時代に多く見られるモチーフのひとつ。このマッチケースもフランス製で、19世紀末のものと思われます。マットな質感のフレンチシルバーのアリュメット入れ、写実的な宿り木の模様が特徴のシルバー製マッチケースです。
両面同じ模様で、ふたを開けた本体部分に、フランスの「シルバー」を示すボアの小さな刻印と小さな菱形の工房印が刻まれています。その他にも、工房名と思われる“O.M”のイニシャルと、“DEPOSE”の文字が刻まれています。“DEPOSE”とは「登録商標」を意味し、このマッチケースを製造した工房がデザインの登記を行っていたことが分かります。また、ふたの部分には、後の時代に打たれたと思われる「出自不明のシルバー」を示すスワンの刻印が見られます。
底の部分には刻みが入れられており、当時、ここでマッチを擦ったと言われています。宿り木アイテムのコレクションのおひとつにおすすめ。現代ではマッチを入れることはないと思いますが、携帯用にソーイングアイテムを入れたり、ご自由にお使いいただけます。
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