アランソン特有の螺旋模様、見どころたっぷりなボーダー
18世紀、パリの北西部、ノルマンディー地方の隣りあった街アランソンとア
ルジャンタンではそれぞれニードルポイントレースが作られていましたが、元々アランソンレースよりもアルジャンタンレースの方が発祥が古いとされ、そのい
ちめんにブランケットステッチ(ボタンホールステッチ)を施したアルジャンタンレースのグランドを簡略化したものがアランソンレースといわれています。
その18世紀のアランソンレースが100年近くの月日を経て進化したのがこちらの19世紀のアランソンレースです。レースの技法が完成され、もっとも華や
かなレースが作られた19世紀のフランスを代表するレースです。同時代にアランソンを模倣して作られたベルギーのニードルポイントレース、ポワンドガーズ
と比べて圧倒的に作られた数の少ない稀少なレースです。
長年探していたアランソン特有の螺旋模様の広巾ボーダーが入荷しました。こちらのレースは、レースの専門書Le Secret des dentelles, volume
3の77ページ目にほぼ同じレースが掲載されています。広
巾いっぱいに、シダと葡萄の葉、芍薬、ジギタリス等の植物が写実的に表現されています。また、この個性的な螺旋模様のためにいっそうゴージャスな雰囲気が
感じられますが、螺旋模様の中には、互い違いに違うニードルの細工が施されていて、その繊細な細工にも目を奪われます。19世紀のアランソンらしいエレガ
ントで非常に手の込んだレースです。
レースの縁や模様のアウトラインには白馬のしっぽの毛が縫い込まれ、手で触っていただくと麻の質感だけではない独特のシャリ感を感じていただくことが出来
ます。同時代のベルギーのニードルポイントレース、ポワンドガーズとはまた違った雰囲気を是非味わっていただきたいです。
一度も水に浸けられたことの無い、デッドストックと思われる大変良好な状態のボーダーです。このような貴重なレースがこれほどの良い状態で出てくることは非常に稀です。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。
※アランソン(ニードルポイントレース)についてはこちらをご参照ください。
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