17世紀中頃、イタリアのレースは、プント・イ
ン・アリアからグロ・ポワンと呼ばれる立体的なヴェネチアンレースへと発展しました。同じ頃、ルイ14世の宰相コルベールは、フランスでも人気だったイタ
リアのレースに対抗するため、王立レース製造所を創設し、今までにないまったく新しいレース、ポアン・ド・フランス(「フランスのレース」の意)を作らせ
ることを始めました。
元々は、グロ・ポワンのコピーから始まったこの新しいレースは、グロ・
ポワンから厚みのあるレリーフを取り除き、細かいピコットや、緻密なボタンホールステッチからなる六角形のグランドに整然とモチーフを並べ、フランスの繊
細な美意識を表現した女性的な雰囲気を持つレースとなりました。
このレースは非常に成功をおさめ、ついには近隣のベルギーやイタリアか
らこのレースを模倣されるまでに至ったのですが、他の国々では既に追いつくことは出来ませんでした。そして、このポワン・ド・フランスこそが、後の時代、
ポワン・ダルジャンタン(アルジャンタン)、ポワン・ダランソン(アランソン)やポワン・ド・スダンなどのフランスレースへと発展していく基となったので
す。
このボーダーは、上部にコットンチュールの付いた元々はカフスではない
かと思われるレースです。小さなピースですが、その密度の高い細工から十分にポワン・ド・フランスの雰囲気をお楽しみいただけるレースだと思います。よく
よくルーペで確認すると、グランドがすべてボタンホールステッチで成形されていることが分かり、その気が遠くなるような仕事ぶりに当時の職人がいったいど
のように作ったのか考え込んでしまうほどの繊細な細工となっています。「ひとつポワン・ド・フランスが欲しかった。」という方にもおすすめのレースです。
裾の端、フリンジの部分に僅かに切れている箇所がありますが、この年代のレースとしては大変良好な状態です。19世紀よりも前のレースがお好きな方にはおすすめ、古いレース特有の味わい深いレースです。ご希望の方には額装も承りますのでお気軽にご相談下さい。
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