速 報!
またもや今年も、猛暑の南仏プロヴァンスへ


菱形の缶に入った南仏のお菓子カリソンを売るお店。色とりどりの砂糖漬けが印象的でした。鮮やかな色あいに、南仏らしさを感じます。

 またまたこの夏も南仏へ。あの爽やかな空気と自由な雰囲気、そして明るさ。南仏にはパリとはまた違った魅力が満載です。何よりも、遥かローマ時代からの歴史があり、(“プロヴァンス”という言葉にしてもローマ時代植民都市を意味する「プロヴィンキア」からきているそうですから。)石造りの橋梁や円形劇場など、イタリアで目にするようなローマ時代の遺跡だって、ここではさほど珍しくないのです。

♪橋の上で踊ろうよ、踊ろうよ。童謡「アヴィニヨンの橋の上で」でお馴染みのサン・ベネゼ橋は12世紀後半、ローヌ川に最初に架けられた石橋で、もともとは22のアーチに支えられた全長900メートルの大きな橋です。17世紀の大洪水で18のアーチが流され、現在は川の途中で切れたままとなっています。私も、この橋が途切れたままだということを今回初めて知りました。

 そんな訳で、またこの夏も仕事かたがた「気分だけでもバカンスを。」とまたもや南仏まで出掛けることとなりました。パリのリヨン駅からTGVで約3時間、南仏アヴィニヨンは14世紀にローマ法王庁も置かれた歴史ある街、今年はストで中止になり、物議をかもしましたが、毎夏国際的な演劇祭が開催されることでも有名な街です。今回はアヴィニヨンに滞在して、近郊の町々を車で巡り、アンティークの数々を集めてきました。

14世紀、ローマから移った法王のために建てられた宮殿兼城塞。中世の堅固な石造りの巨大なこの建物は、宮殿という雰囲気を異にし、「要塞」という言葉がふさわしい気がします。アビニヨンの街は、このような城壁にぐるりと囲まれています。

 しかし、今年のフランスは、日本のテレビニュースなどでも既にご存知かとおもいますが、今年のヨーロッパは約50年ぶり、熱波の影響で「酷暑」「猛暑」ともいえる暑さ。気温は連日40度を超え、たっぷりの日焼け止めを塗って、炎天下の昼間野外で買付けをした後は、バカンス気分どころか、昼間の疲れから、ホテルに帰ってひたすら死んだように眠りこける毎日。せっかくのホテルのプールにもろくろく入らずじまいでした。

沢山の布が風に揺れる南仏のアンティークフェアでのひとコマ。やはり、南仏といえばプリント生地。今回も沢山のフレンチプリントが新入荷しておりますので、お楽しみに。

 また、今回はわが相棒との初めての南仏。最近のイギリスでの買付けでは、レンタカーを使って移動することが多かったのですが、今回が二人フランスでの初めての車での買付けとなりました。フランスは日本と違って右側通行ですし、左ハンドルのミッション車のため、実際に運転する前はかなり不安だったのですが、事前の心配を他所に、利き手でのシフトチェンジは意外と違和感無く、思っていたより楽に運転することが出来ました。ただ、二人とも南仏の地名に慣れていないのでさあ大変!ロン・ポワン(放射線状に多数の道路が交差するフランス特有のロータリー)では、地名の表示はあっても土地勘の無い私達はどの方向へ行って良いのか分からず、ひたすらロータリーの中を4〜5周グルグル。最後には、運転をしていた気の短い私が「何周回らせたら気が済むのよ!」と叫ぶ始末。それに加えて、右側通行に慣れていないせいで道を逆走しかけたり、暴走するトラックに煽られたり、と笑えない事も数々。唯一の救いは、車にエアコンが付いていたこと!(フランスの車にはエアコンが付いていないことが普通です。)無事に戻ってきたときには、「何とか無事生還!」という感じでした。

 そんな珍道中でしたが、やはり、南仏の田舎を自分の行きたい場所へ行ける充足感は格別です。ワイン「コート・デュ・ローヌ」のブドウ畑の間を、赤い実をたわわに付けた林檎畑の間を、一斉に同じ方向を向いて並んでいるひまわり畑の間を、良い香りのするラベンダー畑の間を車で駆け抜ける気分は最高で、南仏の空気を満喫してきました。
 そうそう、こんなにも暑かったお陰で、たった一つ良いことが...。猛暑と水不足で8月の暑い日差しが十分降り注いだおかげで、今年のワインは50年ぶりの当たり年なのだそうです。ボショーレー・ヌーボーが楽しみですね。