パリのカフェ

ちょっと一休み、仕事の合間にカフェ クレームを。
 フランスの滞在と切っては切れないもの、それはカフェで過ごす時間。最近話題になった映画「アメリ」もモンマルトルのカフェが舞台になった映画ですが、朝早くから夜遅くまで開いているカフェは、イギリスのパブと違って、女性一人でもふらりとは入れる気軽さも手伝って、フランス滞在でのひとコマひとコマを彩る存在です。

 まず、パリの朝はカフェから始まります。ホテルのベッドでゆったりといただく朝食のひとときも魅力的ですが、それはお休みの日にとっておくとして、普段は身支度をするとそのまま街へと出掛けます。出掛ける先は、行きつけの近所のカフェ"Le Danton"。何の変哲もないごく普通のカフェですが、メトロの駅オデオンの真上、サンジェルマン大通に面したガラス張りのテラス席で、外を行き交う人々を眺めつつ朝食をとります。"Bonjour."とギャルソンに挨拶してテーブルにつき、カフェオレとクロワッサンを注文します。カフェには、いわゆる「プチデジュネ」と呼ばれるオレンジジュースやチーズやパンの朝食メニューもあるのですが、軽めの朝食が好みの私は、クロワッサンをカフェオレにひたひたにしてのんびりといただきます。その傍らで、出掛けに赤ワインを引っ掛けて仕事に行くおじさんがいるところがフランスらしいところですが。
 さて、朝食をとると、その日に行くアンティークフェアの下調べ。地図をチェックし、地下鉄の路線図を確認します。そしてパリの街へと出掛けていくのです。

ちょっと一杯、パリのリヨン駅でのひとコマ。南仏へ出掛ける前に。

 果たして、朝の仕事を終えたお昼には、やはりカフェに入って昼食をとります。たいていのカフェでは、その日のランチのプレートが黒板の手書きメニューにかかれるので、さっぱり読めない筆記体のそれを見て、「Menu(定食)を。」と何とか注文をします。たいていの場合、肉か魚のプレートにサラダがつくことが多いのですが、フランスですから、もちろんグラスワインも忘れずに頼みます。ランチの時間に間に合わない日でも大丈夫。カフェのメニューには、サンドウィッチはもちろんオムレツやクロックムッシュー、サラダなど、小腹のすいたときのメニューからケーキやアイスクリームなどのデザートメニューまで揃っていて、ずらりと並んだそのメニューの豊富さには感心させられます。

細かい文字と数字が並んでいるのがお分かりでしょうか?カフェには、膨大なメニューがあるのです。

そして、クライマックスの仕事の終えた黄昏時には、もちろんカフェでアルコール!その日一日の疲れを癒します。まだ日の明るい夏の夕暮れには、フルーティーな風味がお気に入りの「ビエール・ブランシェ」と呼ばれるレモンを添えたベルギー産のビールを1杯。外のテラス席で、爽やかな風に吹かれながらの一杯は格別です。
 また、寒い寒い冬の夕暮れには、迷うことなく「バン・ショー」を注文します。「バン・ショー」は、温めた赤ワインにシナモンやクローブで香りを付け、オレンジを添えた風味豊かなホットワインで、パリの街を歩き疲れた冷え切った体を温めてくれる、冬にはぴったりの飲み物です。

 こうした仕事の合間の、カフェでエスプレッソの香りを楽しみながら過ごすひとときが、フランスにいることを強く意識させてくれる瞬間でもあります。