パリの下着屋さん

 

パリの6区を歩いていて通りがかったランジェリーショップ。美しい色合いのシルクとディスプレイに使われているアンティークのポストカードが印象的です。

 ヨーロッパの国々、特にフランスやイタリアなどのラテンの国々のランジェリーショップのディスプレイには、その美しさや大胆さに目を見張るものがあります。もともと、その言葉が示すとおり「ランジュ」つまり麻製のものが、最上とされてきましたが、現代ではやはりシルク製のものでしょうか。私がよく足を運ぶコールマルタン通りにあるデパート・プランタンなどは、地下1階すべてがランジェリーのフロアになっており、その色合いの美しさやバリエーションの多さ、何より数の多さには圧倒されてしまい、日本のデパートの下着売り場とは違った華があります。

 デパートだけでなく、路面店にも下着の専門店が多いのがパリの特徴です。可愛いプリントもののラブリーなコットン製品を扱う店、シンプルな中にも素材にこだわった店、繊細なレース使いのエレガント志向の店、大人っぽい贅沢な素材を使った高級品ばかりの店など、それぞれ個性的です。いわゆるパリジャンヌは、そんな中からお洋服と同じように、下着にもしっかり自分の好みを反映させてセレクトしているようです。

 また、専門店はもちろん、デパートの売り場のマドモアゼルは、自分の仕事にとてもプライドを持っていて、洋服を着た状態であっても、一瞥するなり「あなたのサイズは、これよ。」と正確にサイズを判断するその技には、舌を巻いてしまいます。それと同時に、びっくりさせられるのは、フランスでは、「ランジェリーはパートナーと選ぶ。」という習慣があるということ。下着売り場でカップルが仲睦まじく「君には、これが似合うと思うよ。」と相談しながら選んでいる光景には、目を見張ってしまい、思わずこちらがドキドキしてしまいます。

 美しさを追求したランジェリーは、私にとって香水と同じように、ヨーロッパらしい文化を感じることが出来る一つのキーワードのように思えるのです。