サント・シャペル

 私のお気に入りのステンドグラスがある礼拝堂、サント・シャペルは、セーヌ川の中洲シテ島にあります。マリー・アントワネットが捕らえられて、最後の日々を送ったコンシェルジュリーのすぐ隣、高いゴシック様式の尖塔が目印です。

 けっして大きな教会ではありませんが、細い螺旋階段を2階に上がると、そこは壁全てがステンドグラスで埋めつくされた典型的なゴシックの空間。一瞬、ステンドグラスに包まれたような気になります。ここのステンドグラスは、有名なシャルトルのステンドグラスと同様にブルー系が美しく、何度足を運んでも見飽きると言う事がありません。もともと聖書を読むことの出来ない庶民のために、キリストの一生や聖書の一節を表現したステンドグラスですが、その光と色との絶妙な美しさとキリストを巡る物語は、クリスチャンではない私たちをも、キリスト教的な世界へと誘ってくれます。

 このサント・シャペルでは、たびたびクラシックのコンサートが開かれ、私が常宿にしているオデオンから歩いていけることもあって、スケジュールが合うと、仕事が終わった夕方によく出かけます。今まで行ったことのあるのは、ヴィバルディの「四季」のカルテットやバッハの「トッカータ」のトランペットなどですが、特にパイプオルガンのコンサートなどは、高い天井に響くオルガンの音が印象的で迫力たっぷりでしたし、礼拝堂内に響き渡るトランペットの澄んだ音色は、周囲のステンドグラスの効果 とあいまって、「天国で天使たちが吹き鳴らすとしたらこんな音色かも。」と思えるような、そんな不思議な気持ちを呼び起こしてくれました。 もしパリへ行かれたら、こういったキリスト教的な雰囲気に静かにひたってみるのも、よいのではないでしょうか。今までと違う自分の姿が見えてくるかもしれません。

 高い尖塔と高いアーチ型の梁はゴシック建築の特徴です。


 礼拝堂の内部は、一面ステンドグラスで覆われ、光のまばゆさと色ガラスとが織りなす独特の世界です。


 ステンドグラスの図柄をたどっていくと、一つ一つの物語を紐解いていくことも出来ます。


 サント・シャペルや他の教会で行われるコンサートのチラシ。このようなチラシや街角に張られているポスターからスケジュールをチェックします。