速報!南仏プロヴァンス便り

 今回の買付では、年に2回ある大きなアンティークフェアのため、アンティーク街で有名なプロヴァンスの小さな町リル・スール・ソルグへ、久しぶりに南仏の旅に出かけました。リル・スール・ソルグまでは、パリのリヨン駅からTGV(いわゆるフランスの新幹線です。)でアヴィニヨンへ2時間40分。そこから、バスもしくはタクシーで、30〜40分ほど。このバカンス時期(フランスでは、誰もが年に4週間バカンスを過ごせるよう国の法律で決められているそうです。)、南への列車が発着するリヨン駅は、ラフなリゾートファッションやソレイアードなどの南仏プリントに身を包んだ人々で既にバカンス気分でいっぱい、今から南に向かうたくさんの人々の華やいだ雰囲気に溢れています。列車が南に進むにつれ、車窓はひまわり畑やブドウ畑に変り、アヴィニヨンの駅に降りると、もうそこはプロヴァンス。南仏特有の明るい光線と爽やかな軽い空気に迎えられ、仕事で来ている私でさえも思わずバカンス気分になってしまいます。

 ただし今回のバカンス気分はそこまで。その日は、朝6時前にロンドンのマーケットに行っていたため、午前10時53分ロンドン発のユーロスターに乗ってパリへ移動し、結局アヴィニヨンに着いたのは午後8時頃。夏なので、ヨーロッパではまだその時間でも十分に明るいのですが、思いのほか田舎だったアヴィニヨンの街には、タクシーというものがほとんど無く、それから更に1時間もの間、駅前でひとり待ちに待ってやっとタクシーをGET。全く英語を解さないタクシーのおじさんに何とか行き先を説明して、ようやくほっとタクシーのシートに身をゆだねたのでした。一応、リル・スール・ソルグのホテルは、日本から電話で押さえていたものの、やはり英語をほとんど解さない女性が電話口に出たため、不安な気持ちのまま、タクシーも迷いに迷って、やっとホテルへ到着したのは午後11時前でした。

 日本で予約した際に教えられた、たった200Fr(日本円で¥3300ほど)というホテル代も不安のひとつでしたが、案の定「場末の酒場」という感じの街道沿いにあるカフェの2階をホテルにしてあって、いかにも「ラテン系の女」という感じの、たっぷりの香水の香りを撒き散らしたでっぷり太った迫力のナタリーというマダムが何かと世話を焼いてくれました。きっとそんな場所に日本人が来ることなんて、ほとんど無いのでしょうね。カフェの他のお客からもの珍しげな視線をいっぱいに浴び、片言の英語のナタリーと片言のフランス語の私との会話がよっぽど面 白かったと見え、みんなに歓迎されてようやく部屋に落ち着きました。

 翌日からの買付ですが、この期間中リル・スール・ソルグにはフランス中のアンティーク業者が集まる大きなフェアがあり、バカンス時の一大イベントとして、街中がアンティーク一色になります。私も「気分だけでもバカンスを」と思い、以前訪れたことのある同じ南仏の美しい街モンペリエの小さなブティックで「これはフランス女性特有の夏のファッションだから。」と勧められた生成りの麻の長いタイトスカートにサンダル、サングラスというリゾートスタイルで、買付けに回りました。が、アンティークを見るとしっかり「お仕事モード」になってしまう私。次回南仏を訪れるときは、「レンタカーで、絶対バカンスだけ!お仕事抜き!」と思ったのでした。

 そんな訳で、今回は南仏らしいプリント地やレースなどなどたくさんの商品が入荷しております。どうぞ、そちらもお楽しみに。

プラタナスの街道沿いの並木道。
町の中心からこの並木道を1.5キロ行ったところに私の泊まった「場末の酒場」、 ナタリーがやっているホテル L'ETAPE があります。 南仏特有の爽やかな軽い空気が伝わるでしょうか?


やはり街道沿いの果物屋さんの看板。
日本でも国道沿いに桃とかスイカとか売っているあのノリです。何だか可愛かったので。 


L'ile sur la Sorgue
リル・スール・ソルグは、「ソルグ川の中の島」の意味で、二つの川に挟まれています。いわゆる水郷の村で、街の真ん中に川が流れていて、それは気持ちが良いのです。主だった街のレストランでは、川に面 したテラスでお食事が出来、まるで小説「南仏プロヴァンスの12ヶ月」に登場するような光景です。実際にリル・スール・ソルグは、あの舞台となったリュベロン盆地の中に位 置するのです。


お花屋さんの前に置いてあったお花をかたどったトピアリー。
このラテン的な脳天気さ(?)が南仏かも。れっきとした商品です。


可愛いいおもちゃかぼちゃの並んだ店先。八百屋さんではありませんので悪しからず。これも花屋さんの店先です。


リル・スール・ソルグの街並。やはり田舎なのでしょうね。パリほど背の高い建物は見当たりません。一本裏に入るとこんな細い路地が連なっています。


地中海に近いプロヴァンスのこと、街のレストランで注文したsalade la mer(いわゆる「海の幸サラダ」)には、ビネガーでマリネした魚介類とともに、なんと「カニカマ」が...お皿の周りにシナモンをあしらい、特産のこってり濃いオリーブオイルがかかって美味しかったです。