ロンドンのフラット

 ロンドンで、フラットに暮らす。買付でロンドンに滞在するときは、ほとんど10日以上になることが多いので、最近では、フラットに泊まります。「フラット」というのは、日本でいうマンションといえば分りやすいでしょうか。いつも滞在しているロンドンの中心部には、一戸建てというものはほとんどなく、街中にフラットが連なりあっています。私が借りているのは、ワンルームで、シャワー・トイレ、そしてキッチンの付いたこじんまりとしたお部屋ですが、知人のFannyが一人で住んでいたところなどは、アール・デコ様式の大きな建物で、日本でいう2LDK(どの部屋も、高い天井とゆうに日本の2倍はある広さ。)だったり、また別 の知人が住んでいたところは、2階部分と3階部分がつながっているメゾネット形式になっているところだったりしました。

 私が、いつも借りているフラットは、ロンドンの中心でも閑静な住宅街South Kensingtonにあり、あの故ダイアナ元妃が住んでいたケンジントンパレス、ケンジントンガーデンへも歩いていける場所です。建物は、イギリスらしくレンガ造りの5階建て、エレベーターのないことが「玉 にキズ」ですが、それは、建物自体がヴィクトリアンなのでいたしかたないことかもしれません。地震のないヨーロッパの国々では、このように1800年代の建物が現役で使われていることは当たり前なことです。

 以前は、ロンドンではホテルに滞在していましたが、キッチンの付いている便利さから、最近はもっぱらフラットを愛用しています。ひとくちにキッチンといっても、グリルレンジや冷蔵庫、電子レンジも完備していて、お鍋、お皿やカトラリーはもちろん、ティーポット、ワイングラスまで揃い、その気になればお客様を呼んでのちょっとしたパーティーだってできそうです。そういえば、以前ちょうど同時期にイギリスに滞在されていたビスクドール作家の富野有紀子さんに私のフラットまで来ていただき、一緒にご飯を食べたこともありました。(ただ、普段の私の場合、自炊といっても、もっぱらパスタと冷凍のラザニヤなのですが...。)近くには、大きなスーパー“Wait Rose”もあり、仕事帰りの夕方は大抵そこに立ち寄って、夕食の買出しをします。当然のことなのですが、日本では高価なハーブ類や珍しい野菜、様々なチーズが、リーズナブルな価格で(イギリスは食材などの生活必需品には消費税「17.5%」がかからないのです。)売られている光景には、なんだかわくわくしてしまいます。日本には売っていないグリークスタイルのヨーグルト(ギリシャのヨーグルトでカテージチーズに似ています。)にトライしたり、大好きなトマトとモツァレラチーズのサラダを作ったり、高級なオリーブオイルを贅沢に使ってみたり、そんなささやかな自炊生活も、私のイギリス滞在中での楽しみのひとつです。


私が滞在するフラットのエントランス。玄関の鍵を渡されているので、さながら自分の家へ帰ってきた気分です。

背の高い重い扉を開けると、階段が現れます。床には大理石が張られています。

今日のメニューは、シーザーサラダとベーコンとトマトソースのパスタ、それから赤のグラスワインです。

私が大好きな野菜ルッコラ(ロケット)。イギリスでは、サラダ用の野菜はこうしてパック詰めでたくさんの種類が売られています。中には、“MIZUNA”などというものも。

SOHO近くを歩いていて、こんな地名を発見。小さな袋小路でした。