パリの花屋

 ヨーロッパの街角、なかでもパリの街で最も美しいショーウィンドウといえば、やはり お花屋さんではないでしょうか。 古いマルシェの一画にある露天の花屋の素朴さにも惹かれますが、名だたるフラワーデ ザイナーのお店の洗練されたディスプレイの美しさといったら格別です。

 ことに、私が常 宿にしているホテルがあるODEON辺りには、日本でも有名なCRISTIAN TORTUとその 2号店が店舗を構え、また、バラの花だけを扱っていることで有名なAU NOM DE LA ROSEなどもあって、散歩の楽しみには事欠きません。特に、大統領官邸のディスプレイ などを一手に引き受けるTORTUのウィンドウは遊び心にあふれていて、パリのスノッブ な人たちの間では常に注目の的となっています。 また、私が夕食の買出しに訪れるBUCI通 りのマルシェには、おじいさんがやっている 小さな小さな屋台があり、時々25Frのスミレの小さなブーケを買うことが、パリ滞在中 の楽しみのひとつでもありです。

 そういえば、パリでは、本当によくお花を手にした人を 見かけます。しかもブーケとスカーフの色がお揃いだったりして、みんな上手にお洒落の 小道具として生かしているようです。 お店においてある花の種類も日本とは一味違い、実ものあり果 物ありで、日本では考え られないような奇抜な組み合わせなのに、しっくり合ってしまう不思議さ。そのあたりに フランス人のバランス感覚が隠されているように思います。また、たっぷりと芍薬などが ディスプレイされている様は、さながらミュシャなどに代表されるアール・ヌーボーのポ スターを彷彿とさせて、フランスの美意識の伝統を感じさせてくれます。

街を歩いていて見つけたrue de Bacのお花屋さん。画像では分かりにくいのですが、お店の上にさしてある白いパラソルが、とてもキュートでした。

AU NOM DE LA ROSEのウィンドウに飾られたブーケ。バラとともに実ものもアレンジされています。

CRISTIAN TORTUのウィンドウ。この頃は、ちょうどバレンタインでした

サンジェルマン・デ・プレ近くのお店。外壁に合わせた紫色のコーデュネイトがお洒落です。

マレ地区にある有名な花屋LES MILLE FEUILLES。ここはいつもディスプレイがアーティスティック。まるで絵画を見るようです。

AU NOM DE LA ROSEのハートをかたどったバラのケーキ。周りに散らせた花びらも大事なアイテムです。