ビスクドール

〜人形作家 冨野有紀子の世界〜

 今回は、私の仕事の良きパートナーでもあり、大事なお友達でもあるビスクドール作家の富野有紀子さんとそのお人形についてご紹介したいと思います。

 彼女とはじめて知人宅で出会ったのは、1997年の年末でしたから、もう4年の月日がたったことになります。年末のある日、知人宅で「富野さんは、イギリスでビスクドールを勉強し、先日もヨーロッパのお人形のコンクールに出品するために向こうに行っていたのよ。また何かお互いに役に立つことがあるかもしれないから。」と、ちょうどそこに居合わせた彼女に紹介されたのが私たちの出会いのきっかけです。その時は、特に何も考えずに型どおり名刺交換をして終わったのですが、その年明け、彼女から自分の作品をポストカードにした年賀状をいただいたことが、ことの始まりでした。

 そのポストカードというのは、彼女が以前ヨーロッパのコンクールに出品したブリュ−だったのですが、はっきりした気位 の高い顔の表情といい、シックな衣装といい、全体の雰囲気に、非常に心打たれるものがあったのです。「これは只者じゃない!」と直感した私は、すぐさま彼女に連絡を取って一緒に仕事をすることをお願いしたのでした。それから5回、地元の名古屋を中心に、彼女とのジョイントフェアを開催し、沢山のお客さまに来ていただくようになりました。何年か前には、学研の雑誌「私のアンティークNo.14」で、彼女のお人形に囲まれたお部屋が取り上げられたこともあって、今では地元の名古屋はもとより、広島や関西、北陸などからもお客さまをお迎えするようになり、「やっぱり私の目は正しかった!」と一人悦に入っています。

 もともと彼女が作るようなビスクドールは、1800年代にフランスやドイツで作られたアンティークドールから実際に型を取って作られた物で、お人形に興味がない方でも、ブリュ−やジュモーなどという当時の作家の名前を耳にしたことがある方も多いと思います。彼女のお人形は、一つ一つ窯で焼かれたボディ、何度も繰り返される丁寧な絵付け、アンティークのレースや生地を使って作る美しい衣装の数々や豪華な帽子など、膨大な手作業によって作られていますが、不思議と彼女自身と同様に、魅力的で、大変チャーミングな子ばかりです。

 今回、その冨野さんのお人形のホームページがUPされ、多くの方に彼女のお人形の世界をご覧いただけるようになりました。今までお人形に興味のなかった方でも、是非一度お人形の世界を堪能していただきたいと思います。 リンクページからもアクセスしていただくことが出来ます。

冨野有紀子さんのお人形のホームページ
http://www.doll.or.tv/

 彼女とのカップリングのきっかけとなったブリュ−。愁いを帯びながらも、しっかりとした意志を感じさせるお人形です。


 いたいけのない愛らしい表情のマルクは、大の私のお気に入りです。


 18センチと小さいながらも手の込んだ衣装のシモン&ハルビック。小さなサイズのお人形は、彼女の得意とするところです。