ベビーグッズ
〜愛しい小さな物たち〜

 私のお気に入りの一つ。それは小さい小さい靴下だったり、お帽子だったり、ドレスやシューズだったり。そう、女性なら誰でも可愛いと思うアイテムの一つかもしれませんが、赤ちゃんのためのグッズは、思わず胸がキュンとしてしまいます。

 特に今回の買付では、6万点とも言われるコレクションを持つパリのモード・衣装美術館で、ちょうど「子供服とモード」展という企画展が開催されており、膨大な子供服のアンティークを見る機会に恵まれました。以前にも、ここで1800年代の衣装のコレクションを見た事があったのですが、今回は1780年代から現代までの子供服の展示となっており、私がいつも扱っているようなベビードレスや、ベビーボネ、様々な形のビブや小さな小さな靴や小物などベビーのための衣装はもちろん、大人のモードと同様なスタイルの子供用のドレスや、お人形用かとまごうような革のバッグや靴、珍しいところでは、妊婦用のコルセット(妊婦でもコルセットを着けたのですね。)など、普段なかなか目にすることの出来ないアンティークの数々を見ることが出来ました。中でも圧巻だったのは、1811年に作られたという細かい手刺繍が全体に施されたホワイトワークの洗礼式用のベビードレスで、赤ちゃんの為のものとはいえ「壮麗」という言葉がぴったりの一枚でした。きっと待ちに待った子供の為のものだったに違いありません。いつの時代でも、赤ちゃんに関するものには、夢が溢れています。

 赤ちゃんのよだれかけ、ビブはベビーグッズの大事なアイテムの一つです。アンティーク のものには、様々な形や様々なレースや刺繍をあしらった物などバラエティーが豊富です。


 小さな小さなベビーシューズと毛糸のソックス。このベビーシューズは、キルティングさ れているシルク製のヴィクトリアンで、イギリスのベビーシューズコレクターから譲り受 けました。ヴィクトリアンということでいたしかたないのかもしれませんが、全体の淡い 汚れが気になった私が、「これってお洗濯できる?」と彼女に尋ねると、冗談じゃない! と言った調子で「それもチャームの一つよ!」と肩をすくめた様子が印象的でした。


 画像では分かりにくいのですが、手刺繍のホワイトワークが施されたベビージャケット。 両袖のリボンに合わせて小さなバラのお花をあしらってみました。


 珍しいエンジェルの柄が刺繍されたベビードレス。きっとそのお母さんにとっては、思い 出が込められた1枚だったことでしょう。


 びっしりとビーズが編みこまれたベビーボネとアイリッシュクロシェのジャケット。この ようなボネは、当然ヴィクトリアンで、状態が良いものが非常に少ないのですが、今回パ リで見た展示会では、このようなビーズ編みのドレスが展示されていてびっくりしました。 赤ちゃんにとってはちょっぴり重いドレスだったのではないでしょうか。


 一面に細かいカットワークが施された子供用のケープ。子供用としては、大変贅沢な一 枚です。